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第22話*
十夢が満足げな微笑みを向けてくる。
「……いいね。顔も声も最高に色っぽい。下手な女性より男の子の方がずっと色気があるんだね」
「いや、そんな……声はともかく顔はそれほどでも」
「そうかな。柚希くん、かなり可愛い顔してるよ。今時のイケメン俳優みたいな派手さはないけど、綺麗にまとまってて僕は好きだな」
「……そんなこと言われたの、初めてなんですけど」
「本当? 僕は初めて同人誌を買ってくれた時から『可愛い子だな』って思ってたけど」
「えっ……!?」
「ふふ、ちゃんと言っておけばよかったね。声だけじゃなく顔も可愛いって」
悪戯するかのように、シャツの上からキュッと胸の突起をひねり上げられる。同時に膝で股間をグリグリやられて、無意識に背中が反り返った。
「あっ、あ……はあぁ……っ」
「そう言えば柚希くん、恋人はいるんだっけ?」
「い、いません、まだ……っ」
「そうなの? じゃあセックスの経験もない?」
「ないですよ……! ましてや男性となんて……」
「へえ、本当? それは嬉しいね」
「先生こそ……そういう相手、いないんですか……?」
「残念ながらいないんだな。仕事柄、あまり出会いの機会がなくて。作家っていうのは基本的に孤独だからね……」
首筋に舌を這わされ、柔らかな喉を軽く食まれる。
あからさまなキスマークを付けられてしまったが、このキスマークに彼の心情が全て詰まっているように思えた。
孤独な作業に挫けそうな時だけでも、誰かが側にいてくれたら……。
「じゃあ、これからはおれが側にいてあげます」
「……え?」
「おれが、先生の側でずっと応援し続けます。挫けそうになったら、おれがこの声で励まします。……まあ、今までもやってきたことですけど」
「柚希くん……」
十夢が顔を上げてこちらを見下ろした。柚希も彼を見つめ返した。
ややあって、十夢は心底嬉しそうに微笑んだ。目尻がわずかに光っていた。
「……ありがとう。これからも応援してね。きみの声、もっといっぱい聞かせて」
「はい……、あっ」
十夢がシャツを胸元まで捲り上げて、今度は胸の突起に舌を這わせてきた。
薄いピンク色だった部分は赤く充血し、直接刺激を与えられたことでますます硬く凝ってしまう。ジンジンした疼痛が広がっていき、軽く歯を立てられただけでビクッと肩が震えた。
「んっ、あぁ……あん……」
「うん、とってもいい声だ。気持ちいい? それとも演技?」
「さ、さあ……どっちでしょうか?」
「……へえ? なかなか挑発的だね。その受け答え、たまらない」
「あっ……!」
ズボンのベルトを外され、するりと下着ごとそれを抜き取られてしまった。中途半端に興奮していたものが揺れて飛び出して来た。
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