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第21話*
「ひゃっ……、ちょっと先生……」
目を白黒させて十夢を見たら、彼は真面目な顔でこう言った。
「感覚を掴むには、実際に経験してみるのが一番だ。もし柚希くんさえよければ僕も役作りに協力するけど、どうする?」
「ど、どうって……。先生こそ、おれなんかで大丈夫なんですか……?」
チラリと十夢の股間に目をやったが、彼のものは未だにおとなしく、服の上からだと反応しているのかどうかわからなかった。
もし挿れる直前になっても全然反応してくれなかったらどうしよう……。
「僕が勃つかどうか心配してるの、柚希くん?」
「そりゃあ……だっておれ、男ですし……」
「そこは柚希くん次第だよ。きみの武器であるニューハーフボイスで如何に僕を興奮させられるか……腕の見せ所じゃないかな? 万が一僕が興奮しなかったら、それは声優としての力量不足だと思えばいい」
「……それは」
「……できるよね? BLの主演を張る声優さんなんだから」
そう挑発され、柚希のプライドに火が点いた。声優としても個人的にも、ここで尻込みするわけにはいかなかった。
柚希はしっかり十夢に抱きついて、鼓膜に直接囁きかけてやった。
「もちろんです。先生のこと、ビンビンに興奮させてみせますよ」
そう囁いた途端、十夢が軽く身震いした。確かな手応えを感じ、柚希は胸が膨らむような誇りを覚えた。
「……なるほど。きみはなかなかの魔性かもしれない」
「……っ、ん」
片手を頭の後ろに回され、唇をぶつけられて、割れ目をぺろりと舐められる。半開きになったところから舌を差し込まれ、そのままロングソファーに押し倒された。
「んっ……ん……」
舌先で歯列をなぞられ、内頬を擦られて粘膜同士が湿った音を立てる。
いきなりこんなディープキスをされるとは思わなかったけれど、なんとか彼に応えようと柚希も舌を絡め返した。色っぽい声を意識しながら、鼻にかかった吐息を漏らす。
「んん……あ、う……ん」
唇が離れ、真上から十夢が覗き込んできた。至近距離から顔を覗かれて、柚希は目を背けた。顔に関してはそこまで自信がないので、あまり見ないで欲しい。
「ダメだよ、柚希くん。ちゃんと僕を見て」
顔を両手で挟まれて、無理矢理視線を合わされる。穏やかな中にも心地よい強引さが垣間見えて、ついドキッとしてしまった。
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