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第2話
「ごめん…」
「朔斗は、俺とずっと一緒にいるのは、嫌?」
そんなわけがない。ずっとずっと一緒にいたい。でも、いつかは俺から離れていくんだろ?
「ごめん…」
「さっきから、ごめんばっかりで朔斗の気持ちが分からない。」
「……ごめん」
「だから!」
「自分の胸に手を当てて聞いてみろよ!」
あ。言ってしまった。もう、終わりかな。そういえばと、学生時代に
めんどくさい女は嫌だと言っていたのを思い出す。目に涙が浮かぶのに、顔は笑っている。
「俺たち別れよっか、直樹。今までありがとう。楽しかったよ。」
とりあえず、実家にでも帰ろうか。会社から、それほど離れていないし、
普通に通えるだろう。
「何勝手に決めてんだよ!俺は別れたくない。」
「直樹が……直樹が!…ねぇ、本当に俺のこと好きだと思っているか?」
「当たり前だろう?」
「じゃあ、どうして…浮気をした?」
息を呑む音がした。直樹が言葉に詰まってる。自分から別れを切り出したくせに、もうすでに別れたくないと思っている。
「知ってたのか…?」
笑いがこみ上げてくる。どれだけお前が好きでどれだけお前を見ていると思っているんだよ。
「仕方ないとは思ってる。ただ、もう俺が耐えられないんだ。直樹が俺の前から消える夢をみては飛び起きるんだ。」
もう、泣きそうだ。
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