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【番外編】かわいい嫉妬 03
「ゆ、結月さんっ!何ですかこれっ……!」
数週間後、出来上がった見本誌を見ながら、亜矢が喚いた。
「え?何って、ただのインタビュー記事だろ?」
「ただのインタビュー記事で、ましてやビジネス誌で、こんなにグラビア付きませんっ!」
亜矢のむくれた顔を面白く観察しながら、コーヒーカップに口をつける。
「もーっ、何なんですかこの流し目!色気ありすぎです!あ、この手の構図。ディレクター、絶対手フェチですよ!長い指が綺麗に見える角度、分かってるっ」
「亜矢、そろそろ落ち着きなさい」
「だって……こんなの他の人に見られると思うと」
「何、嫉妬?そんなことで?」
「……そうですよ。子供ですみませんね」
ぷっと吹き出すと、亜矢に軽く睨まれる。
「そういえば、その撮影で使ったスーツ、スタイリストが見立ててくれたものなんだが、買い取ったんだ。亜矢が似合っていると言ってくれたから」
「……それがどうしたんですか?」
まだ不機嫌そうな顔をちらと見てから立ち上がり、ソファに座る亜矢の傍に寄る。そっと細い肩を押して、その体を横たえた。
「ぇ、結月さん……?」
「そんなに言うんだったら、まったく同じ格好のまま、シてあげてもいいぞ?」
「!な、っ……」
「それなら特別だろ?……誰にも見せられないこと、やるんだから」
首筋を指でなぞりながらそう言うと、ボッという音が聞こえるのではと思うほど、瞬く間に首の上から耳まで真っ赤にした。
「へ、変態ですっ……!」
「ふぅん……言葉は選べよ、亜矢」
掌で顔を隠す仕草が可愛すぎるので、額にキスを落とすだけで止めてやった。
翌日、亜矢の言葉通りのことを、忠実に致したのは言うまでもない。
『かわいい嫉妬』 終
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