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【番外編】オトナのやり方 03

「なんでこんな、体がだるいんだろ……」 朝、一緒に風呂に浸かっていると亜矢がぽつりとそう言った。 「まさか、昨日のこと覚えてないのか?」 「え?結月さんと部屋でケーキ食べて、シャンパン飲んで……。そしたら、なんか、結月さんがやたら可愛く見えて……」 可愛い、とはなんだ。襲われると思ったのはあながち間違いではなかったのか。 少し考えている様子の亜矢を横目で見ながら溜息をつくと、「なんとなく思い出しました」と、亜矢は顔を赤くして頭を抱えた。 まったく、この子は本当にしょうがない。 「……ああやって、他の男と寝てたんだな」 ボソリと呟くと、「え!僕、何したんですか?」と亜矢が狼狽える。 「いや、だいぶ煽られたから」 最後は返り討ちにしたが、とは言わなかった。 「もう……貴方がそうしろって言ったんですよ」 「はは、そうだったな」 男どもに好き勝手される前に、さっさと終わらせろ、と教え込んだのはこの俺だ。 そういえば、初めの頃、そうさせるために亜矢に手取り足取り教えた時は、恥ずかしさのあまりか行為の途中で泣いていた。 いくら酒のせいで箍が外れていたとはいえ、こんなにまでなっているなんて。 「でも……昨日のことちゃんと覚えてないけれど……結月さんだけ、ですよ」 「何が?」 「本気で、気持ち良くさせたいって思うのは……」 そう言って耳まで真っ赤にする亜矢が愛おしくて、額に軽くキスをした。 「解ってる。ああいうふうに求めるのは、俺だけだってことも」 いや、それよりも重要なことがある。 「亜矢、俺以外と酒は飲むなよ。絶対だ」 あんな姿、他の男になんか絶対見せてやるものか。 密命を解いたというのに、こうしてまた一つ、縛るものが出来てしまった。 『オトナのやり方』 終

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