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第3章 戒め 06※※

「っ!……ぅ……」 どれくらい経ったのだろう。いつの間にか根元の縛りは無くなっていて、いつ吐き出したか分からない液が股を汚しているのを、冷たい感覚で知った。 腕を動かしてみる。手首は自由になっていた。それでもずっと上で縛られていたせいでまだ痺れが残っている。 ふと、人の気配を感じたと思うと、瞼を通して僅かな光が入る。 目隠しが取られた……? ゆっくり目を開けてみると、ぼんやりとした景色に彼が映った。 「ゆ……づきさん……」 枯れ果てた声で、名前を呼んだ。 真っ直ぐな瞳に見つめられる。 最後に彼と目を合わせたのが、酷く昔のように感じた。 穏やかな微笑み。それを見て、ほっとした。 ……良かった。いつもの結月さんだ……。 彼の顔がゆっくりと近づく。その先の優しいキスを予感して、目を瞑った。 次の瞬間、噛みつくように唇を喰み、口内を荒々しく犯された。 「……誰が、失神していいと言った?」 願いは完全に打ち砕かれた。 内腿に手を掛けて、胸に膝が付くくらいに腰を持ち上げられ、その片脚を彼の肩に乗せられる。カチャリとベルトを外す音がする。次にされることは解っていた。 ――これじゃまるで…… 「お願い……もう、許して……」 声を振り絞って懇願してもその望みは届かない。 「今日は着けてあげないから。が好きなんだろ? 駄目だって言っても、いつもおねだりして、美味しそうに飲み込んでるもんな」 貫かれる圧迫感。馴染みのある質量と温かさが体の中に染み込む。 浅く、深く、ゆるゆると動かされると、完全に彼の形を覚えこんだカラダは、容易に熱をもたせた。 「君が女だったら、物理的に俺のものにできたのに」 ――こんなの、結月さんじゃない。絶対に、こんなこと言わない。だって、それは彼自身が…… 「……嫌だっ……!」 「……」 「こんなのは……嫌……」 瞬刻の沈黙。 「嫌だ?……人形に、拒む権利など無い」 ――今、なんて……。 「聞こえなかったのか?亜矢」 紺青の瞳が僕を捕えて離さない。 「君は俺だけの”人形”だ……。  君は、俺の”慰み”でしかない……」

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