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第12-1話譲れない一線
泣くなど情けないことだと思うのに、グリオスの目に涙が込み上がってしまう。
焦らすなんて意地悪するなと内心愚痴りながら、唇を震わせ、どうにか言葉を発する。
「い、いっぱい……おか、して……お前だけの、メスにして――」
「勝手に言葉を変えないでよ。ほら、エルジュ様って言ってよ。いやらしい言葉は言えるのに、それだけ言えないってなんか傷つくんだけど」
「エル、ジュ……っ……さ……」
さっさと言って楽になりたい。だが、どうしてもエルジュを様付けで呼びたくなくて、グリオスは小首を振る。
それだけは口にできない。いくら軽い戯れの言葉とはいえ、口に出してしまえばエルジュと対等でいられなくなる。
体が疼いて本能のままに求めたくてもエルジュの横に並べなくなるのなら、このまま身悶えながら我慢したほうがいい。
理性の歯止めは効かなくなった頭でも譲れなくて、グリオスは潤んだ目をエルジュの視線に合わせて訴える。
意図が伝わったのかは定かではないが、エルジュは息をつきながら肩をすくめた。
「本っ当にグリオスってば生真面目なんだから。まあ嫌いじゃないけどね……じゃあ――」
にゅる、にゅる……ぐにゅっ。
グリオスの後孔を戯れに滑らせていた熱棒を、エルジュはおもむろに突き刺した。
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