29 / 100
第13-1話そしてやっぱり説教タイム
◇ ◇ ◇
グリオスが目覚めると、そこはエルジュの背中だった。
しばらく上下に揺さぶられながらぼんやりとする。
周りは岩壁だらけ。まだ洞窟を出切ってはいない。しかしゴブリンたちの姿はおろか、気配すらない。
あのおぞましく淫靡で二度と足を踏み入れたくない場所から離れられたことに、グリオスはホッと息をつく。その吐息を背中で感じて、エルジュが「あっ」と声を上げた。
「目が覚めた? よく寝たねー。今までの中で一番イきまくったんじゃない? 気を失ってから延々と起きないから、ゴブリンたちも心配してたよー」
「……俺はどれだけ寝ていたんだ?」
「よく分からないけれど、丸一日は寝てたかも」
「丸一日、だと……? あの部屋でか?」
「それだとグリオスがいつまでたってもエロいままになっちゃうから、別の部屋で休ませてもらったよ。みんな欲求不満が解消されて、ゴブリンたちがすっごく穏やかになってた。ちゃんと意思疎通できるし、優しいし、ゴブリンって良いヤツら――」
「馬鹿野郎! お前が穴に落ちてたら、永遠にゴブリンに回されて喜んでただろ? こんな洞窟の暗い所で、ただ犯されるだけだなんて……っ」
エルジュに背負われながらグリオスは声を荒げる。だが体力が回復し切れておらず、次第に声は弱くなってしまう。それでも苛立ちは収まらず、エルジュの服をギュッと掴む。
ともだちにシェアしよう!