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第22-1話夢と追憶
朝からの不機嫌をどうにかしようと機嫌を取り続けるエルジュへ、グリオスは背を向けたまま口を開く。
「……本当に、もうやらないんだな?」
「うん……っ。絶対に無茶な抱き方はしないし、素のグリオスに無理強いはさせないから」
「約束できるか?」
「約束する! だから許してグリオス!」
……許すも何も、もう今さらなんだがな。
心の中でため息をついてからグリオスは寝返りを打ってエルジュに体を向けると、コツッ、と軽くエルジュの頭を小突いた。
「分かったから……もう騒ぐな。さっきから体が気だるくて眠りたいんだ。お前に回復してもらっていたが、疲労は蓄積されたままだから……少し休ませてくれ」
「じゃあオレは外で時間を潰してくるよ。何か欲しいものとかある? 探して買ってくる」
「それなら……新しい地図と、荷袋と非常食を……森に、落としてきたから――」
グリオスの声が急速に小さくなり、不明瞭で言葉がうまく聞き取れないものになっていく。
ああ、体が眠りを欲している。
急に強まった眠気に抗えず、グリオスは意識を手放した。
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