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第23-1話夢の浸食者
――パチンッ。
突然指を鳴らす音が響き渡る。
その瞬間、郷愁を覚えながらグリオスが眺めていた景色が変わる。
『アァ……ッ、エ、ルジュぅ……あっ、ぁ……んっ、ぁぁ――』
聞きたくもない自分の喘ぎ声。頭を振り回しながら腰を踊らせるグリオスを、満面の笑みで下から穿つエルジュ。
今寝泊りしている部屋での営み――未だ鮮明に記憶と体に刻まれた昨日の出来事。
こんなものを夢にまで見るなんて……。
体だけでなく心の底まで淫らな毒に侵された気分になり、グリオスはこの場から消えてしまいたい衝動に駆られる。
顔を背けようとしても、目に合わせて見たくもない情事の光景もともにズレて、結局真正面から見る形になってしまう。
夢が見せつけてくる事実から逃れられなくて途方に暮れていると、
「ふーん。男が喘ぐ姿なんて萎えるだけだと思ってたのに……これはこれでアリだな。充分にそそられるなあ」
背後から耳元で誰かが囁く。
低くて柔らかい声色。どこか甘い響きを含んでいて、グリオスの全身がざわつき、腰が砕けそうになる。
「だ、誰だ……っ!」
慌てて距離を取りながら振り向けば、そこには見慣れぬ男が浮かんでいた。
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