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第34-4話仕組まれていたもの
「ぅぅ……そ、んな物……っ、もらった覚えなど……っ」
「これは体液に塗れると溶けてなくなり肌に浸透していく。そして体の奥へと溜まり、淫らな魔へと生まれ変わる準備が整う」
「ふざけるな……っ、俺はそんなものには成り果てない! 変わってしまうぐらいなら、いっそ――」
「俺の声には逆らえんぞ。さあ眠れ、グリオス。夢の中でお前を我が眷属に仕上げてやろう。たっぷりと俺の精を注ぎ、種を芽吹かせようではないか」
ぞわり、とグリオスの背筋に悪寒が走る。
しかし同時に体の芯が、頭の奥が甘く痺れ、快楽に蕩けそうになる。
グリオスの体が崩れ落ちかけた時、エルジュが咄嗟に腕を伸ばして抱き留めた。
「嫌だ、グリオス! やっとグリオスの本音が聞けたのに、こんなヤツに横取りされるなんて――」
……いつ俺はエルジュに本心を語った? 絶対に言うまいと決めていたのに。
切羽詰まったエルジュの声を聞きながら、グリオスは強い眠気に抗えず意識を手放した
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