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第35-1話見せつけられて
◇ ◇ ◇
甘い匂いがグリオスの意識を揺り起こす。
「ん……ここは……」
うつ伏せで倒れたままグリオスは呟く。
頭がひどくぼんやりとして、まだ眠りを欲している。体を起こす気に慣れなくて、そのまま眠りに戻ろうとしたが、
「――ぁ……ソコ、もっと……ッ……あぁぁ……っ……」
淫らに堕ちた声が耳に入り、思わずグリオスは目を見開き、顔だけ上げて前を見る。
それはあまりに不思議で淫靡な光景だった。
延々と広がり、果てが見えないシーツ――寝心地の良い広大なベッドだ。
他は壁すらなく、夜の闇のようなものが広がっている。
なのに眼前の有様は鮮明に見えてしまう。
インキュバスが座りながら背後から魔王の脚を大きく開かせ、抱え上げ、そそり立つ凶悪なものを突き立てる姿。
繋がり合った所からは白濁の液が零れ、じゅぼじゅぼと淫乱な音が聞こえてくる。
意識を失う前にやり取りしていた気が強そうな魔王の面影はなく、顔を赤く染めながら快楽に顔を緩め、恥ずかしげもなく喘ぐ。
あからさまに自分へ見せつけていると分かるが、怒りも不快感もグリオスの中から強くは湧き上がらない。
むしろ魔王が上下に動かされ、奥を突かれて「ぁンっ」と甘く啼く度にグリオスの中もキュンと疼き、自分もされているような気になってくる。
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