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message for you
グラウンド側から1列目の、前から3番目。そこが君の席。
廊下側から1列目の、後ろから2番目。そこが、オレの席。
教室を見渡せる位置からオレは、いつの頃からか君ばかりを目で追っていたんだ。
授業中の眠たげな欠伸も、窓の外を見つめる透明な瞳も、興味がある話だけはキラキラに輝くまじめな顔も。
休み時間になると、近寄ってくるなってオーラを出して、遠くばかり見つめてた淋しげな唇も。
ずっとずっと、見てたんだよ。
君の周りに、分厚くて高い壁が建っているように見えて。
一人を望んでるみたいな君は、だけど淋しそうに見えて。
なんとなく、はぐれ雲みたいだと、思ってた。
凄く綺麗な目とか、意外に低い声とか。だけど歌う時はとても響く声になるとか。
きっと、惹かれる要素はたくさんあったんだけど。
思いがけず恋に堕ちたのは、午後の太陽を浴びて、いつもより柔らかく笑ってた、君を見つけたあの瞬間だったと思うんだ。
唐突に自覚したこの想いが、いつか叶うのかどうかなんて見当も付かなかったけど。
君の瞳にオレを映してくれたなら、ひとまずはソレで良い、だなんて思った盲目の恋の始まり。
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