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第69話 友哉

「はぁ・・っともちゃ」 「俺、いつもは知ってから好きになるんだよ」 いまだ抵抗を諦めない那津の言葉を遮ると、 ドクドクっと脈を打つ那津を握ったままで息が上がる潤む瞳を見つめる。 どこか困ったような歪む顔と開きっぱなしになった唇が色っぽくて、 なんだか妙に興奮する。 「いつもそうだった。 ちゃんと相手を知ってから好きになってた。 そんな気がする」 いままで付き合った女性をそれなりには好きだったと思う。 結婚という二文字がなければ、 いまも続いてた人だっていたかもしれない。 「でもお前はそうじゃない。 もう好きで、、、なにも知らないくせに好きで、、、だから知りたい」 「っはぁ・っ・・ともちゃ・・」 コイツに名前を呼ばれると、全身にゾクゾクする何かが走る。 この声で。 その言い方で。 それは誰にもまねできない、那津だけのモノだ。 「好きだから。 那津のこともっと、、、お前の全部。俺に教えて」 いままであまり恋愛事には真剣になれなかった自分は、 こんな風に誰かを想えてる事実がただ嬉しいのだ。 この年になってまだ、初めてが待っていた。 「ぜんぶ。俺に見せろ」 男の自分が間違いなく、男の那津に好意を持っているという事実を、 那津にも知ってもらいたい。 息を荒くしてる那津の、もう一度、唇を塞ぐとようやく、 俺の手首を握りしめていたそのアツい手が離れた。 そのまましばらく舌を絡めてから、、、 那津が身に着けていた最後の一枚を、ゆっくりとはぎ取った。 もう十分膨れ上がったソコをまじまじと見る。 「っ・・ちょお・・っあんま見ないでよ」 「なんで?」 「なんでって・・・っ」 人生の中で 自分以外の他人が目の前で勃起している場面に遭遇したことは、 いままで一度だってない。 おまけに、、、 「これは俺に興奮してんだよな」 那津のこのシルシは俺に対してのモノだと思えば、 ソレは特別、まるで例外的なものに感じる。 エッチなんて簡単だと言っていたコイツがたったいま、 俺に見られることには躊躇しているってだけで、 自分は特別なのだと言われているのだとわかる。 もうそれだけで、 いままでの那津の過去のすべてが本当にどうでもよくなった。 「っもう・・っあんま見んなってば」 どうせ隠すことなどできないとわかっているくせに、 立ち上がるソコを隠そうとする手のひらを押さえつけて 那津の言葉を相変わらず無視する。 「いいから大人しくしろ」 脚を閉じさせないようにして、那津のすべてを上から眺めて満足する。 恥ずかしそうなその表情も。 平らな胸も。 括れの少ないその腰回りや、 繁みの中央に立派にそそり立ってるソイツの存在も。 那津のそんな姿はもちろん初めて見る。 そうして、そのどれもが那津らしかった。 可愛らしい顔としっかり男らしいソコは、 どこか似つかわしくないように見えて、けれどもすべては那津だった。 「綺麗だ」 「・・っ」 「那津は綺麗だ」 もう一度言った。 なんならさっきよりもそう感じた。 那津の膨らむ中心がぴくぴくと揺れて、 そんな反応をする那津の全てに見えない何かが満たされる。 だから思わず微笑んだ。 「ともちゃ・・」 最初に確信部分に触ってしまっておいて良かったかもしれない。 あとはもう、なにも心配はないと独り勝手に思えた。

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