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Odette e Odile

あざとい。 オレは、自分にそんなトコロがあるなんて思ってなかった。 高校に入って、それまでバレーだけを見てきた大地に出会って、そんな大地の事を好きになって、オレなんかを好きになってくれるハズないって思ってたのに、大地からいきなり告白されて。 その瞬間から、オレの中に、オレの知らないオレが生まれたんだ。 白鳥沢戦。 これで優勝すれば、全国へ行ける。 オレの、そして大地の夢。 その日、道宮が大地に何かを渡そうとしているのを、オレは見てしまった。 彼女が大地に想いを寄せているのは、なんとなく分かっていた。 オレなんかより、彼女の方が大地には……って思った事もあった。 ぶっちゃけ、今でもたまに思う。 オトコのオレよりオンナの道宮の方が、大地にとって幸せなんじゃないか、って。 けど、オレはそう思いながら、大地との関係をやめる事が出来なかった。 「お前が好きだ、スガ」 両想いになって、恋人同士になれて、オレにしか見せない大地を知ってしまって。 大地から離れる事なんて絶対に嫌だ、有り得ないって思ってしまって。 「お前が隣にいてくれたら、俺は何も要らない」 バレー一筋だった大地が初めてバレー以外に目を向け、中学が一緒だった、大地をずっと見てきた道宮じゃなくて、オレに惚れてくれたっていう優越感。 オレが大地だけのものであるのと同じで、大地はオレだけのもの。 それを思う度、あざといオレが顔を出す。 「あーさひっ、先行こっ!!」 大地の様子を気にしてる旭を引っ張って、わざと大地をひとりにして道宮との時間を作らせて、道宮が必死になって大地にアピールしている姿を遠目で見て、あんなにアピールしてるのに大地は全然気づいてないし、今後も絶対彼女を見る事もきっとないんだろうな、可哀想だな、って思ってるオレがいる。 「いいのか?スガ」 「うん、だってオレ、大地のコト信じてるし」 クラスメイトや部のみんなには内緒にしてるけど、旭にはオレたちが付き合ってるコトは知らせていた。 旭も西谷と内緒で付き合ってて、オレはよく旭とお互いの相手の話をしていた。 「スゴいなぁ、スガは。俺、西谷が男女問わず楽しそうに一緒にいるのを見たら、気になってそのまま近くでも見ちゃう時あるよ」 「ハハッ、旭らしいな」 西谷の事が好きで好きでたまらなくて、だからこそ不安になってしまう旭。 そんな旭を、オレはすごく純粋だなって思うんだ。 試合に勝って、全国に行ける事になって、大地と旭と3人で抱き合ってその喜びを分かちあった。 そんな時も、あざといオレが大地に言った。 表彰式でふたり並んで表彰状とトロフィーを受け取った後の事だった。 「だーいち、道宮にお守り、見せてあげたらいんじゃね?」 「あ、あぁ、そうだな。すっかり忘れてた。サンキュ、スガ」 大地、やっぱ忘れてたんだ。 良かった。 オレが言わなかったら道宮は大地に気づかれないままだった。 何も知らず、道宮は大地がお守りを見せてくれたのを見て、嬉し泣きしていた。 オレがお膳立てしてあげた事も知らずに、ホント、可哀想。 オレは大地の隣に並んで、そんな事を思いながら観客席を眺めていた。 「スガ」 大会の後は『おすわり』でバレー部みんなで食事をする事になっていて、オレと大地は隣同士で座っていた。 「ん?」 大地がオレだけに見えるように、ケータイの画面を見せてくる。 『明日、部活休みだからウチに泊まって欲しい』 「…………」 その顔は少し赤らんでいて、ドキッとさせられた。 『そのつもりだったけど』 大地が持ったままのケータイに、オレは横から返事を打つ。 大会が終わるまで、Hはしない。 大地からそう言われた時はちょっと寂しい気持ちになったけど、バレーの事だけ考えたいっていう大地の気持ちが分かってたから、分かったって応えて、今日までずっとただの親友みたいな状態で大地の傍にいた。 「……良かった」 オレの打ったメッセージを見たのか、みんなに聞こえないくらいのトーンで耳元に囁いて、大地はテーブルの下でオレの手を握ってきて照れくさそうに笑ってくれた。 親に大地んちに泊まるって連絡して、パジャマ代わりに大地のTシャツとハーフパンツを借りて、大地んちの風呂に先に入れさせてもらって。 大地が風呂に入ってる間、オレは久しぶりに来た大地の部屋を見回していた。 机に飾られてる、オレとの写真。 今の背番号を背負った時に旭が撮ってくれたそれは、恋人になってすぐの時の、オレも机の中にこっそり隠している大好きな1枚だった。 大地は肩を抱き合っているその写真を堂々と飾ってて、それを見る度にオレって愛されてるなぁって幸せを感じてしまう。 「悪い、待たせたな」 「ぜーんぜん。むしろ大地、ちゃんと身体とか洗ってきたのかよ。あっ、また髪の毛濡れたままで来た」 「髪なんてそのうち乾くだろ」 お茶の入ったピッチャーとグラスをお盆に載せて部屋に入ってきた大地。 部ではあんまり見せない、ちょっとガサツなところ。 オトコって感じがして、そんなとこも大好きだ。 「そんなコトしてたら頭にカビ生えてハゲちゃうからな」 そう言って、オレは大地の濡れた髪をわしゃわしゃ触った。 短くしているだけで何も気にしてない濡れた黒髪からはシャンプーの匂いがして、今はオレも同じ匂いがするんだと思うと嬉しくなってしまう。 「お前はそれでも俺の事、好きでいてくれるだろ?」 そんなオレの頬に、大地のあったかくて大きな手が触れてくれて。 「ん……っ……」 サーブして、ブロックして、アタックを決めた力強い手と大地のキスで、あざといオレはどっかに行って、ただ大地の事だけ見てるオレになる。 「自分で言ったのに、俺、昨日までずっと、お前に触れたくて、お前を抱きたくて仕方なかった」 「だいち……」 家族がいる場所から離れたところにある大地の部屋。 オレの家族が出かけない限り、ここがオレたちの愛し合う場所になっていた。 抱き締められて、その鼓動を感じると、こっちもつられてドキドキする。 「スガ……」 耳元で囁く、いつもと違う甘い声と荒い息遣い。 それだけでもう、身体が熱くなって、疼いてたまらなくなった。 「お前、顔真っ赤……」 それを見つけた大地は、可愛い、って言ってオレにまたキスしてくれた。 「……ぁ……ん……っ……」 その逞しい腕でガッチリオレを抱き締めながら、唾液を交換しあうようなキスを交わすと、息をする度に声が出てしまう。 「その顔、スゲーエロい……」 「や……あぁっ……!!」 久しぶりの、ふたりきりの時にだけ見せてくれるカッコイイ顔。 それでオレの喉笛にキスして、そのままゆっくり首筋を舌で撫でていくと、大地は鎖骨の少し下の辺りをキツく吸ってきた。 「ちょっ……どこに跡つけて……」 「……いいだろ?明後日くらいには薄くなってるって」 「そんな……っぁぁっ……!!」 Tシャツを捲られて、胸も同じように吸われながら乳首にも舌で触れられて、恥ずかしい声が出てしまう。 「もうこんなに堅くなってる。スガ、俺にこうして欲しくてたまんなかった?」 「んはぁっ、んなコト聞くなバカ……あぁっ……!!」 大地の舌で勃ちあがってしまった乳首を両方とも指でぎゅって押し潰されて、オレはその久しぶりの感覚にめちゃくちゃ感じてしまってた。 やっぱ、違う。 大地に触ってもらえなかった間に大地の事を考えながら何度か自分の指で触ってみたけど、こんなに気持ち良くなかった。 「はぁ……っ、だいちぃ……っ……、もっと、もっと触って……っ……!!」 恥ずかしいのに、そんないやらしいコトを言ってしまう。 「ココだけで満足出来んの?スガ」 そう話す声はスゲーやらしくて、でもカッコよくて。 オレは正直に首を横に振ってしまってた。 「……だよな……」 大地はふふ、って笑うとオレが履いてたハーフパンツを下着ごと足元まで下ろし、もうガチガチになってるオレのを手で包み込んでくれる。 「ふぁぁ……っ……!!」 「スゲー、もうイキかけてんじゃん。先っぽ、めっちゃぬるぬるしてる」 「や……っ、やだ……っ、一緒に、だいちといっしょにイキたい……っ……」 イキたいのをなんとか我慢してハーフパンツの上からでも分かるくらい熱くなってる大地のに触れようとすると、大地がオレと同じ格好になってオレと向かい合うようにして座り、お互いのが触れあうようにしてくれた。 「あぁ……ッ、だいちぃ……ッ……!!」 「スガ……ッ、お前の手、めっちゃイイ……ッ……うぁ……ッ……!!」 大地のも結構濡れてて、オレたちはお互いのを扱きあってわりとすぐイッてた。 でも、大地のはまだ大きいままで、オレの手の中でびくびく震えていた。 「大地、まだこんなに大きくて堅い……」 オレはそんな大地のを口に挿れたくなって、ソコに顔を近付ける。 「……っ、スガ、そんなされたらすぐまた出ちまうって……ッ……!!」 気持ち良さそうな顔と声。 大地がオレの口と舌で悦んでくれてるのがたまらなく嬉しい。 けど、口の中で大地のがどくどくって脈打つ度に口じゃなくてオレの中に挿れて欲しくなってきてしまう。 「……はぁ……っ、こんな煽ってきて……覚悟しろよ、スガ……っ……!」 「んはぁ……っ……!!」 少し強引に大地のから口を離されて床に押し倒されると、大地はオレの入口にその堅くそそり立ってるのをくっつけてくる。 「や……だいち……あぁぁぁッ……!!」 オレの身体は前戯もしてないのに、大地のをすんなり受け入れていた。 「スガ……っ、これで久しぶりなんておかしいだろ……っ……!!」 「あぁっ、ホント、ホントなのにぃ……っ……!!」 根元まで挿れると、大地はオレの腰を掴んで弱いトコロを激しく突いてくる。 「こんなに熱く絡みついてくるなんて……っ、お前の身体、マジでエロ過ぎ……っ……!!」 「んぁぁッ、だいちが、大地がオレのカラダをこんな風にしたんじゃん……っ……」 余裕のない、興奮した顔の大地。 オレも余裕なんてなくて、吹っ飛びそうな意識をなんとか保つので精一杯だった。 やがて。 大地はオレの中で連続でイッてくれて、腹の奥は大地のでいっぱいになって、ものすごく熱くなったんだ。 「大丈夫か?スガ」 「う……ん、なんとか……」 久しぶりのHの代償は結構大きくて、オレはすぐには動けなかった。 大地に後始末をしてもらって、暑いからってパンツだけ下に履かせてもらって布団を敷いたところに横にさせてもらって。 大地はそんなオレの隣に布団を並べてオレを腕の中に収めながら申し訳なさそうに謝ってきた。 「ホント済まん!久しぶりで興奮しすぎちまった」 「ううん、それはオレも同じだったし」 優しく髪を撫でてくれる手が心地良い。 「スガ」 「ん?」 「今度はあまり間をあけないで、でも回数はそんなにたくさんしないようにしよう」 いつもと同じトーンでHな話をする大地が面白くて、オレは笑ってしまった。 「ハハッ、何ソレ。大地、そんなにオレとHしたいの?」 「あ、当たり前だろ。お前の事、スゲー好きなんだから。……ダメか?」 大地はまた、オレにしか見せない照れくさそうな顔をしてオレに聞いてくる。 「ダメ……じゃないけど……」 『お前の事、スゲー好き』だなんて言われてダメなんて言う訳がない。 大地の奴、天然でドキドキさせるような事言ってくるの、反則だべ。 「んじゃ、決まり。部活に支障が出ないくらい、でも欲求不満にならないくらいに……な」 「お、おう……」 あざといオレと、そうじゃないオレ。 どっちのオレも大地の事しか見えてない。 大地はそんなオレを知った時、どう思うんだろう。 それでも変わらずオレを好きでいてくれたらいいな。  

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