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写真−1−

「またプレゼン通ったんだって?」 同期の山西が羨ましそうに聞いてきた。 「うん」 「出世街道まっしぐらだな」 「そんなことないって」 「俺を見捨てるなよ」 「はいはい。ほら、仕事に戻れって」 「ほーい」 時間が経つのは早いもので、社会人になって3年が 経っていた。念願だったお菓子メーカーの商品開発は仕事自体は忙しくて大変だが、やりがいを感じていた。 昼休みに、もう付き合って2年になる守から今日会いたいとメッセージが来ていた。守は3つ年上で、アプリを通して知り合った。初めて会った時、写真より実物の方が格好よくてびっくりしたのを鮮明に覚えている。 なんとか定時で仕事を終わらせて、待ち合わせ場所の居酒屋に向かった。いつの間に散った桜が道路を春色に染めていた。 「慶、お疲れ様」 「珍しいね、平日に」 「···会いたくなっちゃってさ」 年上なのに甘えてくれるところが好きだ。 「僕も守に会いたかったよ。仕事どう?」 「全然原稿が上がってこなくてお手上げ」 守は小説の編集者をしていて、今担当している作家の先生がかなりのくせ者らしい。 「大変そうだね···」 「まあね。でも慶に会えたから頑張るよ」 「無理はしないでね」 「うん、ありがとう」 お店を出たのは21時を過ぎたころだった。別れるのが名残惜しくて、家まで送ってほしいとお願いした。 道に誰もいないのを確認して、自然と手を繋いで歩いた。大きくて少し乾燥した守の手は、何とも言えない安心感をくれた。 「送ってくれてありがとう」 信号を渡ればすぐ家というところまで来た。 「家まで送るよ」 「ここで大丈夫」 「なんで?」 「···帰したくなくなるから」 恥ずかしくて守の顔を見れなかった。 「慶、可愛すぎ」 そう言うとキスをした。 「じゃ帰るね」 帰ろうとする守の腕を掴んで、もう一回キスした。 「ありがと」 「どういたしまして」 「気をつけて帰ってね」 「うん。また連絡するから」 守の姿が見えなくなるまで見送った。 翌日、出勤すると山西の様子がおかしかった。 「どうしたの?」 「···これって浜口だよな」 見せてくれた写真には僕と守がキスしてるところが 写っていた。 「なんで···」 「社内メールで送られてきたんだよ」 「え?」 急いでメールを確認すると、社員全員に同じメールが送られていた。

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