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第3話

「あー、仕事行きたくない。せっかく今日は淳が家にいるのに……仕事行かないで家の中で淳とイチャイチャしてたい……」  玄関でぼやく一成を、淳は宥めた。 「ダメだよ、一成。仕事頑張ってきて、ね?」 「じゃあ行ってらっしゃいのチューして」  ん、と顔を近づけてくる一成に、淳は頬を赤く染める。少しの間躊躇ってから、そっと顔を寄せた。  軽く唇が重なり、淳はすぐに離れようとしたのに、後頭部を押さえられ更に深く口付けられる。 「んんぅ……っ」  閉ざしていた唇を舌で割られ、ぬるりと差し込まれる。舌が擦り合わされ、ぞくぞくする感触に淳は思わず一成に縋りついた。すると一層激しく唇を貪られる。絡み取られた舌を吸われながら、流し込まれる唾液を必死に飲み下した。  くずおれそうになる体を、腰に回された一成の腕がしっかりと支える。  体が蕩けるほど口の中をぐちゃぐちゃに犯され、全身が火照り、頭がぼうっとして、下腹部が疼き、この先を望んでしまいそうになったとき、ゆっくりと名残惜しそうに唇が離れていった。  思わず縋るように一成を見上げれば、彼はぞくりとするような艶を帯びた笑みを浮かべる。 「ありがとう、淳」 「は、え……?」 「これで仕事頑張れるよ」 「あ……」  そこで、今のは行ってらっしゃいのキスだったことを思い出した。それなのに、気づけば夢中になって、更にその先まで求めようとしていた。  恥ずかしくて、淳は慌てて一成から離れる。  クスクスと、楽しそうな一成の声が耳に届いた。 「可愛い、淳。俺のこと今すぐ欲しいって顔してる」 「っ、そん、そんな、こと……っ」 「待っててね、さっさと終わらせて、まっすぐ帰ってくるから。待ちきれなくて、一人で楽しんじゃダメだよ」 「っ……」 「俺のことしか考えられなくなった状態で、俺が帰ってくるの、待ってて」 「っ、っ……」  口を開くがなにも言えない淳の額にキスを落とし、一成は「行ってきます」と爽やかな笑顔で出ていった。  ドアが閉まり、残された淳は、深く息を吐き出す。  一成に灯された火は、下腹部でまだ疼いている。彼が帰ってくるまで、それを持て余しながら過ごすことになるのだろう。彼の思惑通りに。  淳はもう一度深く息を吐き、部屋に戻った。  今、淳は一成と一緒に暮らしている。淳にそのつもりはなかった。出会ったばかりで名前くらいしか知らない相手と同じ部屋に住むなんて考えられない。けれどはじめて一成の暮らすマンションに連れてこられたあの日。好きだと告白されて、返事もしてないのに恋人を甘やかすように優しく執拗にじっくりと抱かれ、とろとろに溶かされ、淳はベッドから出してもらえなくなった。 「んゃっあっあっ、らめ、もっ、離してぇっ」 「どうして? 淳のここ、俺のちんぽ美味しい美味しいって嬉しそうにはむはむしてるのに、抜いていいの?」 「ひあぁああんっ」 「ほら、抜こうとすると、ぎゅーってしがみついてくる……っ」 「んあっあっあっあぁんっ、らめ、らめなのぉっ、大学、んんあっあっ、がっこう、行かなきゃ、あぁっあっひぅんっ」 「ダメ。もうこの部屋から出さない」 「はひっんあぁっ、そん、そんな、あっあっあっ、こま、困るぅっ」 「だって一度出ちゃったら、もう帰ってきてくれないでしょ?」 「んっんっんぁんっ、って、だって、おれ、おれの家は、あっあっあぁっあっあっ」 「ほらね。だから毎日動けなくなるまで抱き潰して、もうずーっとここに閉じ込めておくから」  冗談のようなことを、全く冗談とは思えない声音で囁かれ、淳はこのままでは本当にこの部屋から一歩も出られなくなってしまうのではないかと不安に駆られた。 「ひんっ、らめ、そんなのらめぇっ、おねが、あっあぁんっ、戻ってくる、ちゃんと、ここ、戻ってくるからぁっ、だから、あっあぁっ」 「違うでしょっ」 「ひゃああぅんっ」 「『戻ってくる』んじゃなくて、『帰ってくる』んだよ、もう、ここが淳の家なんだから……っ」 「はひぃんっんっあっあっああぁっ、んっ、かえっ、て、くるぅっ、ここ、ここにぃっ、かえってくるからぁっ」  そんなやり取りの末、どうにかこうにかベッドを抜け出すことを許された。  そして大学に行って、迎えに来た一成の車に乗ってマンションに戻ってくると、自宅のアパートの部屋にあるはずの淳の荷物がごっそり移動されていたのだ。ここは淳の部屋だから好きに使って、とどでかいクローゼットやお洒落な棚が備え付けられた一人で使うには広すぎる部屋を宛がわれ、寝室はもちろん俺と共同だよ、と朗らかに微笑む一成に、もう逃げられないと淳は悟った。少なくとも、一成が飽きるまでは離してもらえないのだろうと。  それからアパートは解約し、淳は一成と二人で暮らすことになった。  一成が言っていた通り、彼はとにかく淳の世話を焼きたがる。本当にトイレまでついてこようとするので、それだけはやめてほしいと土下座する勢いで頼み込んで、どうにかトイレだけは世話をされずに済んでいた。  信じられないほど大切にされ甘やかされ毎日愛を囁かれ、さすがにもう、彼が自分を騙しているのではと疑うことはなかった。淳のような平凡な大学生を騙すにしては手がかかりすぎている。  だから、一成が淳を好きだという言葉は本気なのだろうと今では理解していた。  彼は惜しみなくその気持ちを淳に伝えてくれる。  最初は戸惑いが大きかった。信じられない気持ちの方が強かった。  けれど、今は素直に嬉しいと感じる。  好きだと言われると嬉しくて、抱き締められてキスをして全身で彼の温もりを感じられると幸せな気持ちになる。  めちゃくちゃ大切に扱われ、目一杯甘やかされて、毎日何度も好きだという気持ちを言葉でも態度でも示されて、そんなことをされ続け淳はころりと落ちてしまった。  大地のことで傷ついて、もう好きな人なんてできないんだろうなんて考えていたのに、あっさり好きになってしまうなんて自分でも簡単過ぎるんじゃないかと思うけど、でも、惹かれてしまったのだから仕方ない。  けれど、まだ一成に好きだと言ったことはなかった。なかなか勇気が出なくて言えずにいたが、今日こそちゃんと伝えようと覚悟を決めていた。セックスはしているくせに、いつまでも気持ちを伝えないでいるのは、誠実に思いを伝えてくれる一成に失礼だ。だから、今日こそは好きだと言うのだ。気負いすぎると言えなくなってしまうから、会話の流れでさらっと口にしよう。頭の中でシミュレーションを繰り返し、そわそわしながら一成の帰りを待っていた。 「ただいまー、淳」 「お帰り、一成」  夕方になる前に一成は帰ってきた。 「お土産にケーキ買ってきたよ、一緒に食べよう」 「わ、ありがとうっ」  既に淳の好みを正確に把握している一成は、こうした気配りで淳を喜ばせてくれる。甘すぎるくらいに甘やかされて、本当にダメ人間になってしまいそうで怖い。  ケーキと紅茶を用意して、リビングのソファに並んで座る。  ケーキを一口食べて、淳は瞳を輝かせた。 「美味しい!」 「ほんと? よかった」  一成はとろりと目を細めた。  淳が喜ぶと、彼はいつも嬉しそうに顔を綻ばせる。  一成の笑顔に胸がきゅんと締め付けられた。 「ありがとう、一成。お土産とか、いつも、ほんとに嬉しい……。俺、全然お返しできなくて……」 「気にしなくていいよ。俺が好きでしてることだから」  慈しむような一成の瞳に見つめられ、じんわりと頬が紅潮する。 「淳が傍にいてくれるだけで俺は充分だよ」 「あ、ぅ……」 「顔真っ赤。淳はすぐ照れちゃうね。可愛い、好きだよ」 「っ俺も好き!!」  会話の流れで自然に伝えるはずだったのに、今だ! と力んでしまい、食いぎみに言ってしまった。声も上擦ってしまって、緊張しているのがバレバレで恥ずかしい。  一成の反応を窺うが、なんのリアクションもない。  真顔で、なんの感情も浮かべずに淳を凝視している。彫刻のように動かなくなってしまった彼を見て、淳は失敗したのだと思った。  自分のような平凡な男が、一成に好きだなんて、そんな烏滸がましいこと、言ってはいけなかったのだと。好きだと言われて調子に乗って、俺も好き、だなんて。  ピクリとも表情を動かさない一成に、淳は血の気が引いていくのを感じた。焦って、自分の愚かな言動を取り消そうと口を開いたとき、がばりとソファに押し倒された。 「ひぃっ……!?」  思わず肩を竦ませる淳の体を、一成がぎゅうぎゅうに抱き締める。 「あ、あの……一成……?」 「淳……!」 「はんんっ、んっ、んんーっ」  いきなり唇を貪られ、淳はくぐもった声を漏らす。  口の中だけでなく口の周りまでべちょべちょになるまで舐め回され、突っ込まれた舌に喉の近くまで蹂躙され、がっちりと固定されて顔を背けることも許されず、淳は涙を滲ませながら激しすぎるキスを受け入れた。 「んはぁっ、あっ……いっせ……」 「淳、淳っ、嬉しい、はじめて好きって言ってくれたね」  恍惚とした表情で、一成が淳の顔にキスの雨を降らせる。  そこで漸く、彼が喜んでいたのだと気づけた。てっきり淳の告白を聞いて気分を害してしまったのかと思ったが、違ったようだ。 「嬉しすぎてビックリして、息をするのも忘れて固まっちゃったよ」 「んっ、んっんっ」 「ああ、嬉しい、淳があんなに力一杯、好きって言ってくれるなんて、顔を真っ赤にして、可愛い顔で、可愛い口から、好きって、ね、もう一回言って」 「んっ、はっ、す、好き……」  顔中に繰り返されるキスに溺れながら、伝える。 「一成が、好き……」 「っ嬉しい、淳、俺も好き大好き愛してるっ」  ぎゅう~っと強く抱き締められる。  体が密着し、ごりっと固いものが股間に擦り付けられた。確認しなくても、それがなにかは容易に察することができた。 「やっ、あんっ」 「嬉しくて、俺のちんぽもうこんなになっちゃったよ」 「んゃっあっあぁっ、そん、なに、擦っちゃ、あっあぁんっ」  ぐりぐりぐりぐりと押し潰すように膨らんだそこを布越しに押し付けてくる。刺激されて、淳のペニスも否応なく反応してしまう。 「気持ちよくなっちゃう? ぐちゅぐちゅって聞こえてきたよ」 「やあぁんっ、だめ、だめぇっ、汚れちゃ、からぁっ」 「もうイッちゃいそうなの? 直接触ってないのに?」 「いっちゃ、あっあっあぁっ、いく、出ちゃうから、あっ、おねがぁっあっ、ぐりぐりしないでっ」 「どうしてほしい?」 「っふ、うっんんっ、ぬ、脱がせて、お願いぃっ」  懇願すれば、一成は艶っぽい笑みを浮かべ、脱がせてくれた。 「もうこんなにぐちょぐちょにして……」  恥ずかしい指摘に、淳は顔を真っ赤に染めた。  彼の言う通り、下着は漏らした先走りでぬるぬるに汚れている。ぬちゃりと糸を引きながら脱がされ、淳は羞恥に泣きそうだった。  そして淳が恥ずかしがる姿を見て、一成は瞳に情欲を宿らせるのだ。 「上も脱ごうね」 「あっ……」  慣れた手付きで衣服を脱がされ、淳はあっという間に裸にされた。  一成も手早くシャツを脱ぎ捨て、上半身裸になる。 「淳……」 「んっ……」  抱き締められてキスをされ、素肌の触れ合う感触の心地よさに淳はうっとりした。淳からも腕を伸ばして抱きつけば、キスをしたまま体勢を変えられる。ソファに座る一成の膝を跨いだ状態で、濃厚なキスを交わす。  キスをしながら、一成の手が淳の臀部を撫でた。むにむにと揉まれ、指が濡れたアナルに触れる。ペニスから漏れた蜜がそこまで垂れていた。 「んっふぅっんっんんぁっ」  ぬるぬると表面を撫でられるだけで、体は過剰に反応してしまう。早くと催促するように後孔がひくひくと収縮し、一成の指を中へと迎え入れようとする。  笑みを浮かべた一成の唇が離れていった。 「淳のここ、ぱくぱくしてて可愛いね。俺のこと欲しがって、待ちきれないって言ってるの、エッチでほんと可愛い」 「あっあぁんっ」  焦らすようにゆっくりと、指が挿入される。それだけで体が悦んで、きゅうきゅうと指を締め付けてしまう。 「一生懸命指締め付けて、ほんと可愛い……」  うっとりと囁いて、一成は淳の胸元に顔を寄せる。  ぬるっとした感触が乳輪をなぞった。 「んはっあっあっあっあんっあっ」  乳首は期待にぷくりと膨らんで刺激を待ちわびているのに、一成の舌は乳輪ばかりを舐めてそこには触れてくれない。 「んやっやぁんっ」 「どうしたの、淳?」  もどかしさに身を捩れば、意地悪くこちらを見つめる一成と目が合った。  一成の求めているものはわかっている。彼は淳に恥ずかしい言葉を言わせたいのだ。はじめて彼に抱かれたとき、一夜限りのことだと割り切って羞恥心を捨てて欲望のままに乱れてしまったが、今は違う。直截的な言葉を使うのは恥ずかしくて堪らないのだ。そして淳が堪らなく恥ずかしがっているとわかった上で、一成は淳に色々と言わせようとしてくる。口にして伝えないと、望むものはもらえないのだ。  それを既に嫌というほど教え込まれている淳は、羞恥に悶えながらも一成の求める言葉を口にする。 「いっせぇ、おねが、あっあっんっ、ち、くび……ちくび、舐めてほし……っ」 「もちろんいいよ。淳の可愛い乳首、たくさん舐めてあげるね」  淳がきちんと言葉にしてねだれば、一成はそれ以上焦らすことなくほしいものを与えてくれる。  たっぷりと唾液を纏った舌でねっとりと乳首を舐められ、淳は快感に喘いだ。 「ふあっあっんっ、きもち、いっ、あんっあっ」 「乳首とお尻、どっち?」 「んあっあっ、どっちも、りょうほう、きもちいっ、あっあぁっあっあっ」 「どっちも好き?」 「す、きっ、ひあっあっんんっ」 「俺のことは?」 「好きっ、一成、すきぃっ」 「あー可愛い俺も好きっ」  ぐりぐりと胸元に頬擦りされ、一成が心から喜んでいるのが伝わってきて、好きと言ってよかったと思った。 「ひぁあっあっんっ、んあぁっ」  乳首を舐めしゃぶられ、後孔をぐちゅぐちゅと掻き回され、淳の口から甲高い嬌声が止まらなくなる。気持ちよくて、でもこれだけじゃ足りない。胎内が物足りなさに疼いている。 「いっせ、いっせぇっ、あっふぁあんっんっ、お願いぃっ」 「うん?」  淳は震える手で一成の男根を取り出す。腹につくほど反り返ったそれを目にして、淳の瞳がトロリと溶けた。 「も、もう、一成の、入れてほし……っ」 「俺の?」 「っいっせぃ、お願い、一成の、ぉ、ちんぽ、入れてぇっ」 「恥ずかしがってる淳のおねだりほんと可愛い、蕩けた顔で俺のちんぽ欲しがるのほんと可愛い大好きっ」 「んんーっ」  噛みつくようなキスをしながら、一成は引き抜いた指の代わりに剛直を後孔に宛がった。  太い亀頭がぬぷりとめり込んでくる。 「淳、ゆっくり腰を落として」 「んっはぁああんっ」  言葉に従い腰を落とせば、隘路を押し広げ、肉棒が奥へ奥へと埋め込まれていく。胎内を彼の欲望で満たされていく快感に、淳は甘い声を上げながら目の前の体にしがみついた。 「淳、大丈夫? 苦しくない?」 「んっ、だいじょ、ぶ、きもち、いっ、あっあっあぁっあっんんっ」  硬い楔に内壁を擦られる快感に、淳はびくびくっと体を震わせる。  気持ちよくて、一成にも気持ちよくなってほしくて、淳はぎこちない動きで腰を上下に動かした。  強い快楽に襲われながらも必死に剛直を出し入れする淳を、一成の熱を帯びた瞳がじっと見つめている。 「可愛い、淳、ここも弄ってあげるね」 「ひあぁんっ」  きゅうっと乳首を摘ままれ、同時に肉筒がぎゅうっと締まる。  その刺激に一成は一瞬息を詰め、それから熱い吐息を吐き出した。 「っはあ……淳は乳首気持ちいいとお尻きゅんきゅんしちゃうね」 「んあっあっんんっ、きゅうって、なるぅっ」  カリカリと両方の突起を爪の先で優しく引っ掛かれ、淳は背中を仰け反らせて快楽に乱れる。 「おちんちんも気持ちいい? 俺のお腹に一生懸命擦り付けて」 「ふぇっ? あっあぁっ」  淳は腰を揺すりながら、無意識にペニスを彼の下腹に押し付けていたようだ。一成のそこは、淳の漏らした蜜でぬるぬるになってしまっている。  淳は羞恥と罪悪感にじわりと涙を浮かべた。 「ひあっ、ごめ、なさっ、あっあっ」 「謝らなくていいよ、ほら、もっとくちゅくちゅってしていいよ、俺の体に擦り付けて気持ちよくなって、俺の体にぴゅーぴゅーって精液かけてごらん」 「ひゃっあっやっあっああぁっ」  体を離そうとすれば、ぐっと腰を掴まれ阻まれた。体が密着した状態で下から何度も突き上げられ、二人の間に挟まれた淳のペニスが揉みくちゃにされる。 「んゃぁああっあぁっあっ、いくっいくっ、出ちゃうぅっ」 「いいよ、淳、イッて」 「ひあっあっあっあ~~~~~~っ」  硬い腹筋にペニスを擦られ、胎内を強く抉られ、淳は全身を震わせて射精した。吐き出された体液が、二人の体に飛散する。 「おちんちんびくびくさせながらぴゅーぴゅーって、可愛いね、淳」  一成がうっとりと見つめてくる。可愛いという彼の感覚は、きっと淳には一生理解できないだろう。 「気持ちよかった?」 「うん、んっんっあっ、いっせいも、気持ちよくなって、奥まで入れてっ、俺の中でいってぇっ」 「淳っ」  強く抱き締められ、めちゃくちゃにキスをされ、奥深くまで亀頭を捩じ込まれた。 「んはぁあんっんっんんっ、ふぁっんっんっ」  じゅぽっじゅぽっじゅぽっと、最奥を何度も突き上げられる。激しく揺さぶられ、淳は必死に一成にしがみついた。 「淳、好き、大好きっ」 「んあっあっひっひあっううっんんっんっ」 「淳は? 淳も好き?」 「はひっひうっふっ、んっ、す、き、あぁっ、いっせぇっ、しゅき、しゅきぃっ」  奥を貫かれる快感に飲み込まれながら、淳は彼の求める言葉を口にする。 「あぁあっあっひぁっ、しゅきっ、あっんんっんっあっあぁっ、いっせぇっ、すきぃっ」 「淳、淳、俺も好きっ、愛してるっ」  律動はどんどん速く強くなっていく。 「っ……淳、イッていい? 淳の中に出すよ?」 「んっうんっ、出してぇっ」  射精を望むように、肉筒が咥え込んだ剛直にきつく絡み付く。  促されるまま一成は内奥に精を吐き出し、淳もまた絶頂に達していた。びゅくびゅくと胎内に精液を注がれ、じわりと広がる熱を感じ、淳は酷く満たされた気持ちになる。  一成と出会わなければ、こんな気持ちを味わうことなどできなかった。  胸がいっぱいになって、淳は一成に抱きついた。 「淳?」 「好き、一成……」 「うん、俺も好きだよ」 「一成といられて、幸せ……」 「淳……っ」 「ひあぁあ……!?」  繋がったままの状態でいきなり一成が立ち上がった。いつの間にかまた体積を増していた剛直にぐぽっと奥を突き刺され、淳は目を見開いて悲鳴を上げる。 「んひっひあっあっ、なに、なっ、あっあっ」  動揺する淳をしっかりと抱え、一成は歩き出す。 「ひっやぁっあっ、なんっ、んあっあっ」 「ベッドに行こう。ベッドの上でお互い幸せを噛み締めながらたくさん愛し合おうね」 「はひぃっひうぅっんんっ、ま、待っ、あっ、ぬ、抜いて、あぁっ、一回、抜いてぇっ」 「だーめ。今日は記念日だから、このまま一晩中淳と繋がってたい」 「ひぃっ、あっあっらめっ、入れたまま、歩いちゃ、あっあっあっあひっ」 「大丈夫だよ、しっかり支えてるから。絶対落としたりしないから安心して」 「はっあっあっひっ、そ、いう、問題、じゃ、あっあっ、なくて、ひあぁっあっ」 「歩くたびにぎゅっぎゅってお尻締まるね? 気持ちいい?」 「ひあっあっらめっ、らめぇっ」 「可愛い、好きだよ、淳」  甘く囁かれると、こんな状況なのに胸がときめいてしまう。  仕方ない。むちゃくちゃで行き過ぎててどうしようもないと思うけれど、そんな彼を淳は好きになってしまったのだから。 「俺も、好き……」  幸せそうに微笑む彼に、淳はそっとキスを贈った。

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