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5.ミオの下着(4)

 先日、この子が普段着ているユニセックスな服装に対して「似合っている」、「かわいい」、「女の子みたい」だと正直な感想を述べたのは、他ならぬ俺自身である。  その言葉によって、ミオは自分の中にある女の子っぽさを自覚したようで、それを特に嫌がる素振りは見せなかった。  ただ、いくら女の子っぽいからと言っても、ミオの戸籍上の性別はれっきとした男の子。  だから、人前で上半身裸と下着一枚になっても、堂々としていられるのだろう。  それはごく自然な事であるし、むしろ、ミオの中の女の子らしさを指摘した俺が勝手に意識して、一人でドキドキしているのがおかしいのかも知れない。  それにしても、この子は女もののパンツ、いやショーツを穿いていても、まったく違和感がないな。  いわゆる〝男の娘〟が女装をする時に、下着まで女ものを着用する、というのはよく聞く話だ。  が、まさかこんな身近に、しかもナチュラルに女もののショーツを穿きこなす〝ショタっ娘〟がいようとは。 「あのね、他にもいっぱいあるんだよ。下着は全部園長先生が買ってくれたの。見てみたい?」 「えっ、いいのか?」 「うん。お兄ちゃんなら見てもいいよー」  思わぬ申し出にうっかり聞き返してしまったが、果たして本当に見てもいいのだろうか。  俺はひょっとして、足を踏み入れてはならないヤバいゾーンへ立ち入ろうとしているのではないのか。  いや、これは普段ミオがどんな下着を穿いているのかを、里親という立場からチェックするという行為なだけであって、決してやましくはないはずだ。  と、自分に言い聞かせようとしている時点で充分やましいのだが、せっかくなので見せてもらおう。  何しろ俺だけ特別に見せてもらえるというのだ、この特権を辞退する道理はどこにもない。

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