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6.下着の多様性(1)

「見て見て! これ、ボクが一番好きなショーツだよ」  俺の選んだ服に着替えたミオが、タンスから取り出して見せてくれたのは、前面に小さなリボンがついた、淡い水色のショーツだった。 「これは……初めて見る下着だね」 「うん。お兄ちゃんのお家に来てから、これだけはまだ穿いたことがなかったの。取っておきなんだよ」 「取っておき?」 「そ。一番大好きだから、取っておき」  一番好きならヘビーローテーションするんじゃないの? と思ったが、この子は大事なものを、ここ一番という時のために取っておくタイプなのかも知れない。 「そうなのかー。それにしてもすごいな、今時の下着はこんなにきわどいのか?」 「きわどい?」 「うん、ものすごくきわどい」 「それってどういう意味?」 「何というか、パンティーラインにエッジが効いているって感じ」 「んー。難しい言葉、よく分かんないよ」 「ごめんごめん。とてもかわいいと思うよ」 「そうでしょ? ボクはこのリボンが気に入ってるの」  ミオはニコニコしながら、そのお気に入りのショーツを拡げて見せてくれた。  どう見ても、明らかに女の子向けの機能性とデザインの下着なのだが、ミオはこれを普通に穿きこなしてきたらしい。  その下着姿を想像するだけで、俺は顔が火照って熱を持ちそうになった。  それにしても、なぜ児童養護施設の園長先生は、ミオに女の子ものの下着を買い与えたのだろう。  服はまあ、男女兼用ということで通用するとは思うのだが、さすがにこのショーツは無理じゃなかろうか。 「お兄ちゃん、触ってみる?」 「ん? 何を?」 「このショーツを。お兄ちゃんなら触ってもいいよ」  そう言ってミオは、お気に入りのショーツを俺の手のひらにポンと置いた。  こんなに簡単に、俺に下着を見せてくれたり触らせてくれたりするのは、きっとミオが俺の事を信用してくれているからだろう。  もっとも、ミオは普段から俺に抱きついてきたり、ベッドの中で思いっきり甘えてきたりするので、信用度をどうこう言うのは今さらな話ではあるが。

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