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6.下着の多様性(2)
「うわぁ……スベスベだね」
「でしょ? それ、すごく穿き心地がいいんだよ」
「生地にナイロンを使っているからかな。手触りがすごくいいと思う」
「うんうん」
ミオが笑顔で頷 く。
渡されたショーツを手に取って、生地を触って、両手で拡げてみて、俺は「ものすごく小さい」という感想を抱いた。
子供用の下着だからこういうサイズなのだろうが、その子供用にしてはセクシーすぎる。
サイズもさることながら、何しろ全体的に布面積が小さいのだ。これではお尻を隠しきることなんて到底できっこない。
これをミオが穿いているところを想像したら……いかん、のぼせ上がって鼻血が出そうだ。
穿いている本人が一番気に入っているんだからいいとは言え、施設の園長先生は、こんなにきわどい下着を買い与える事に、何のためらいも抱かなかったのだろうか。
そのあたりについて、ミオは何か知っているのかな。それとなく聞いてみよう。
「ミオ、このショーツだけど……」
「いいでしょ。ボクがおねだりして買ってもらったんだよ」
「え? おねだり?」
「うん。園長先生がね、ときどき服とかショーツが載ってるカタログを持ってきて、『どれが欲しい?』って聞くの。だからボク、これが欲しいっておねだりしたんだ」
「これを?」
「そ。これだけじゃなくて、ショーツは全部ボクが選んだものを買ってくれたよ」
俺は呆気に取られてしまった。
何と、園長先生の趣味か何かだと思っていた下着のラインナップは、誰あろう、ミオ本人のチョイスだったというのだ。
さっき「下着は全部園長先生が買ってくれた」とは聞いたが、その全てが本人の希望した結果の産物であったとは。
「……ところでこれ、女の子が穿く下着だってのは教えてもらったの?」
「んーん、知らなぁい」
ミオはあっけらかんと答えた。
この返事から察するに、ミオは下着の性別がどうこうよりも、それがかわいいデザインか否かで下着選びをしたのだろう。
それ自体は決して悪い事ではないし、むしろ無頓着であるよりは、何かしら好みを持っている今の方がいいような気がする。
とは言え、である。
今時の男の子は、みんな女ものの下着を穿くことに抵抗がないのだろうか?
いや、みんなは言いすぎか。
ただ少なくとも、今、嬉々として自分の下着を紹介してくれるミオには、その抵抗らしきものが全く無いようだ。
これも時代の変化というものなのだろうか。
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