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13.憧れのウサちゃんパーク(5)

 飼育員さんの話によると、基本的にペレットの主原料も牧草らしいのだが、用いる牧草は大まかに〝アルファルファ〟と〝チモシー〟に分けられているのだという。  で、混ぜる牧草や他の成分も、ウサギの品種や年齢、健康状態などに応じて変える必要があるため、与えるペレットの種類は多岐にわたるのだそうだ。  ミオはその説明を、一語一句漏らさぬよう、熱心に聞き入っていた。  よっぽどウサギが好きなんだなぁ。  ウサギが大好きな人のための、ウサギの楽園、その名もウサちゃんパーク。  ここへ来た人は、そのウサギたちのキュートな姿に癒やされ、魅了されるそうだが、ミオもその一人になるのかも知れない。 「ウサちゃんに触ってみたいな……」  ミオが、各ケージで元気に動き回るウサギたちをを、目で追いながらつぶやいた。 「ここは見るだけの場所だけど、あっちの〝ふれあいステージ〟に行けば、ウサギちゃんに触れ合えるよ」 「え、ほんと!?」 「うん。優しくなでなでしてあげてね」 「はーい。ねぇお兄ちゃん、ふれあいステージに行こ?」 「あ、ああ。もうここはいいのかい?」 「また後で見に来るぅー」  どうやらミオは、ウサちゃんパークを周回するつもりらしい。  そこまで気に入ってもらえたとは、俺も連れてきた甲斐があったな。 「うふふ、すごくかわいいお嬢さんですね」 「え! ……ええまぁ、気が優しい、自慢の子です」  この際、ミオを女の子だと勘違いしている事には触れないでおこう。 「それじゃあ、また後でお邪魔します。いろいろとありがとうございました」 「いえいえ! ぜひ楽しんでいってくださいねー」  俺とミオは飼育員のお姉さんに手を振り、この施設の目玉であるふれあいステージを目指した。  両脇が植樹された通路をしばらく歩くと、徐々に、子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。  おそらく、先客が次の見どころである〝ふれあいステージ〟にて、ウサギと遊んでいるのだろう。 「お兄ちゃん、早くー」 「わ、分かった分かった」  ミオは居ても立っても居られないといった様子で、俺の手を引っ張る。  ここへ来る前から大好きだと言っていたウサギに、直に触れる事ができるというのだ。  そりゃ気分も高揚するよな。 「あ! あそこ。ウサちゃんがいっぱいいるよー」  ミオが指差した先は、屋根のある大きなドーム状の部屋だった。  その部屋の前には〝ウサギのふれあい広場〟と書かれた看板が立てられている。  園内マップの表記と看板の表記が違う……まぁこれはローカルな動物園あるあるかな。  部屋の中央では、少し背の低い柵の中で、子供たちと十数羽のウサギが仲良くたわむれていた。  その子供たちの親は、柵の外側から、我が子とウサギの写真や動画を撮ったりしている。  どうやらここは、子供たちが動物に触れ合う体験をするためのステージらしい。  別に大人禁制とは書いていないが、場の雰囲気的にそういう感じがする。

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