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21.魚釣りと温泉(13)

 俺も体を乾かした後は、下着姿のまま、洗面台に置かれていたアメニティのT字カミソリで、ジョリジョリしていたヒゲを綺麗に剃り落とした。  ヒゲ剃りは基本的に電気シェーバー派なのだが、たまにはシェービングジェルとT字カミソリの組み合わせもいいものだ。  扇風機に当たって火照った体を適度に冷まし、再びルームウェアに着替えた俺たちは、同じ階にあるコインランドリーへと向かった。  今日は日中とても暑くてたくさん汗をかいたので、その汗を吸った衣服や下着などを洗い、乾燥機にかけて、また翌日以降にでも使えるようにするのだ。  一応着替えの衣類と下着は数着持ってきているのだが、かと言ってこれらの服を汚れたまま部屋に放置しておくわけにもいかないし、連泊する以上、やはり洗濯は必須なのである。 「ねぇお兄ちゃん。ボクも何かお手伝いできることない?」 「そうだなぁ。じゃ、このお金で洗剤買ってきてくれる?」 「はーい」  俺はミオに小銭を渡し、自動販売機に並ぶ洗剤を買うお手伝いをしてもらった。  何気に、これがミオにとっては初めてのおつかいだったりする。  まぁ洗剤の自動販売機はすぐそこにあるから、言うほど大変なおつかいではないんだけど。 「一個でいいんだよね?」 「そうだね。柔軟剤もあるなら一緒に買っといてよ」  俺だけの服なら洗剤なんて適当でもいいんだが、なにぶんにもミオのショートパンツと下着も一緒に洗うので、やはりふんわり仕上げをするための柔軟剤は欠かせない。 「これでよしと。じゃ、一旦部屋に帰ろうか」 「うん。テレビで明日の天気予報を見なくちゃだもんね」  温泉のおかげで身も心もぽかぽかになった俺たちは、再び手を繋ぎ、コインランドリーを後にした。  現在の時刻は八時ちょっと過ぎ。  お楽しみのディナーを食べられる時間は九時半までなので、まだまだ余裕はある。  まずは客室に戻って荷物を置き、テレビやネットなどで明日の天気に関する情報収集を行い、それから飯を食べに行く予定だ。  あらかじめ仕入れた情報で、ここのディナーと朝食では〝バイキング形式〟を採っていると聞いている。  特にディナーのバイキングは、島の名産品をふんだんに使った和食料理などが多く並ぶのだそうだ。  その品々を頭の中で想像していると、さっき堤防でアイゴの塩焼きを丸ごと食ったのに、もう腹が減ってきた。  ディナーは別腹なんだな、きっと。  ミオも初めてのバイキングという事で、ウキウキが止まらない様子だ。  用件を済ませたらさっさとディナー会場に直行して、二人がお腹いっぱいになるまで、地元の名産品を食べ尽くしちゃおう。

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