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22.初めてのディナーバイキング(4)

 さて、次は肉と魚、どっちを先に食べようかな。 「ホタテ、すごくいい匂いだよ。お兄ちゃん」 「だね。チーズと相性がいいんだろうなぁ」  ミオは熱々に焼けた貝殻の底から、チーズがたっぷりと乗ったホタテの身をすくい上げ、箸で口に運ぶ。  さて、初めて食べるホタテの感想はいかに。 「……あ! おいしい!」 「今食べたのが貝柱だよ。うまいだろ?」 「うん。貝柱がプリってしてて、ちょっとだけ甘いの。あとバターの匂いがするよー」 「へぇ、バターか。ホタテを乳製品でサンドしたんだな」 「ん? どういう事?」 「貝殻にバターを塗っておいて、ホタテを焼く時にチーズを乗せるんだよ。どっちも乳製品だから、ホタテを挟む形になるんだね」 「なるほどー。ホタテの身もホクホクしてておいしいなぁ」  こういうジャンクフードっぽい料理、一度食べるとハマっちゃって癖になるんだよな。  もっとも、少食なミオにはあまり関係のない話かも知れないけど。  じゃあ俺も、肉より先に、このウニの軍艦巻きを食べちゃいますか。  寿司を取った後に白飯をよそったから白米がダブってしまったが、もはやそんな事は関係ない。  とにかく、うまいもんが食えればいいのだ。  新鮮なウニがこんもり乗った軍艦巻きの底に醤油をチョンと付けて、一口でペロリといただく。  なんて贅沢な食い方なんだろう。 「んー! この軍艦巻きもうまいなぁ」 「軍艦巻きって、お兄ちゃんが取ってきたお寿司?」 「そう。ウニって安物だとちょっと臭うんだけど、これは全然臭くないんだよ。すごくクリーミーで、口の中で溶ける感じだね」 「でも、ウニはトゲトゲがいっぱいある生き物だよね? ボクの知ってるウニと違うなぁ」  ミオが軍艦巻きの上に盛られた、つやのいいオレンジ色のむき身を見ながら、その姿形に疑問を呈する。 「これはウニの殻を割って、取り出した身を乗せてるんだよ。要するにウニの中身だね」 「ふーん。じゃあさっきのホタテみたいなの?」 「え? まぁ……殻があるという点では一緒かもだけど」  でもウニは貝類じゃないよな、と思ったが、詳細な分類に関しては俺も自信が無いので、あえてそれ以上は何も言わなかった。  軍艦巻きを食べた後は、タレがたっぷり付いたカツオのたたきを熱々の白飯に乗せてかっ込む。  うーむ、身がしっかりしていてうまい。  ポン酢と、島の特産物であるかぼすがベースになったタレによってカツオの臭みが消えているから、ご飯もろともガツガツいけてしまう。  これだけでも充分ご飯のおかずになるのだが、カツオのみで全部食べてしまうのはもったいないので、今度は佐貴島牛のしぐれ煮をオン・ザ・ライスだ。  さて、その味はいかに。

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