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24.初めての海水浴(9)
「さっきの話をしてた子は男の子なんだよ。だから浮気じゃないって」
と弁明してすぐに、自分が頓珍漢 な発言をしてしまった事に気が付いた。
そもそも同じ男の子であるミオと結婚する約束をした俺にとって、ミオ以外に接した相手が男女どちらであるか、なんて事は何ら関係がない。
それ以前に恋愛の多様性について語った俺が、男の子相手だと浮気にならないと言ったところで、信ぴょう性も何もあったもんじゃないのである。
なんて厄介な事になってしまったんだ、さっきのレニィ君がミオと同じショタっ娘であったがばかりに、正妻(立)候補のミオに浮気を疑われる羽目になるなんて。
だったらレニィ君が女の子ならよかったのかというと、それはそれで別の問題が発生するだろう。
とにかく、今はミオの誤解を解く事に全力を注がなければ。
「ごめん、今のは無し! 無しって言っても、浮気してないのは嘘じゃないけど」
「……うふふっ」
さっきまで疑いの目を向けていたミオが、突然笑い出した。
「ミオ?」
「ほんとは信じてたんだよ、お兄ちゃん」
「え。そうなの?」
「うん! だってあの時、神社で言ってたでしょ? お兄ちゃん、そんな事する人じゃないって」
「ああ、そうだね。確かに言ったよ」
あの時の言葉には、そもそも恋人がいないから浮気のしようがない、という意味も含んでいたんだけど、恋愛に関して一途であるという自分の気持ちに嘘はない。
「だからボク、お兄ちゃんがあの子とお話してても、絶対に浮気はしないって、最初から信じてたの」
「ミオ……。ありがとな」
「これからもずっとずっと信じてるから、ボクのこと、お嫁さんにもらってね!」
「うっ!? わ、分かったよ、ミオが来年まで覚えてたらね」
「絶対忘れないよ。お兄ちゃんの事大好きだもん」
ミオは天使のような微笑みを浮かべながら、そう答えた。
ここまで言われちゃ仕方ないなぁ。
俺は、女の子座りをしたまま、肩を寄せて甘えてくるミオを、腕を回して優しく抱いた。
こんなに俺の事を信じて、そして想い人として好きでいてくれている、ミオの気持ちを裏切る事は絶対にできない。
今まではショタコン疑惑だとか、女の子らしさを意識してしまった結果だとか言って自分をごまかしていたが、もういい加減、素直になろう。
俺も、ミオの事が大好きだ。
その時が来たら、俺はもう腹をくくって、ミオと婚姻関係を結ぶ事にしようと心に決めた。
たぶん周りには猛反対されるかも知れないが、肝心なのは他人の意見よりも二人の意思だから。
だけど、さっきのレニィ君とまた会う事になったら、その時はどうするべきか。
いかにミオが俺を信じてくれているとはいっても、さっきみたいに二人の会話が弾むと、今度は修羅場になりそうな予感がする。
男女関係のもつれならともかく、まさか、二人のショタっ娘に好かれるがあまりに、こんな心配をしなきゃいけなくなるとは、夢にも思わなかったよ。
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