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32.イカ料理を食べよう!(9)

 でも、これ以上分かりやすく表現すると、どうしてもストレートな言葉を使う事になるだろうし、それは教育上良くないと思うのだ。  何しろミオ自身は、施設や学校で性教育を受けていないみたいだし。 「お兄ちゃん、この女の人の方が好きなの?」 「え! そ、そんな事はないよ」 「ほんとにー?」  若干言葉に詰まってしまったのを聞き逃さなかったミオは、さらなる疑惑の目を向ける。 「ほんとだよ。今日開いたら、たまたまその子の写真が載ってたってだけで、俺の好きな子じゃないから」 「じゃあ、好きな子は他にいるって事?」 「んー、何と言うか。俺はもう、こういうアイドルからは卒業したんだよ」 「卒業って、見るのをやめちゃったって意味?」 「まぁそういう事だね」 「……だったらいいけど」  俺の言葉に安心したのか、ミオはマウスから離した手を自分の太ももに乗せ、笑顔を振りまくグラビアアイドルの写真から目を切った。 「ミオ、心配だったの?」 「だってぇ。この人、ボクよりも胸が大きいんだもん」  まぁ確かに、この美乳アイドルはバストが公称八十五センチなんだそうで、ショタっ娘のミオのそれよりは確実に大きい。  というかミオの胸が発育したら、それはそれで大事(おおごと)だよ。  ただ、胸はともかく顔に関しては、ミオはこのアイドルとは比べ物にならないくらいの圧勝をしている。  何と言ったって、ミオはいつも女の子に間違えられるくらいの美少女顔だからね。  でも、どうしてこの子は、グラビアアイドルが誇る胸の大きさが、自分に対してアドバンテージを持っていると思うのだろう。  世の中には貧乳を好む紳士も少なからずいるわけで、その人たちに言わせれば、別に胸の大きさなんて大した売りではない。  まぁ、かく言う俺は小さいよりは、大きい方が嬉しくはあるんだけど。  ……という好みを見透かされているから、ミオは疑惑の目でもって見つめてきたのだろうか。 「あのね、お兄ちゃん」 「ん?」 「ボク、学校でクラスメートの女の子たちとお話するんだけど、時々胸の大きさの事とかを話したりするの」 「えっ、そうなのか?」 「うん。女の子って結構、自分の胸がみんなと比べて大きいか小さいかを気にするんだよ」  まぁ、確かに女性のバストサイズは、その人の外見的な魅力のバロメーターとして重要視されるのかも知れない。  例えばネットで女性の胸について検索してみると、バストのサイズを自分で計測すると小さくなる、なんて悩みがヒットしたりするのだ。  バストアップを指南するサイトなんかも山ほどあるわけだし、その需要と供給のバランスを考慮すると、やはり一般的な女性としては、自らのシンボルでもある胸の大きさは気になるのだろう。

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