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32.イカ料理を食べよう!(8)

「さて。お店の予約も終わったし、ネットを見るのはこの辺にしておこうか」  と言いながら、隣に座っているミオの方を向いてみると、ミオはまだ何か気になる事があるのか、ネットを開いたままの画面をジッと凝視していた。 「……ねぇお兄ちゃん」 「ん? どうしたんだい?」 「この、『管理人厳選! アイドルお宝画像集』ってなーに?」 「いっ!?」  ミオが指差した先には、俺が昔お気に入り登録していた、グラビアアイドルたちの水着姿がたくさん掲載されている〝お宝サイト〟の名前が残っていたのだ。  しくじった! ミオを我が家に迎え入れる前に、こういうお色気サイトのお気に入り登録を解除しておくのを、すっかり忘れてしまっていたよ。 「そ、それは。えーと、何と言うか」 「お兄ちゃん、見てもいい?」 「いや、ちょっと待っ……」  ミオは俺の返事を聞く前に、自らマウスを持ち、お宝サイトのリンクをクリックする。  すると、画面いっぱいに、お宝サイトのタイトルと、メインページを飾るグラビアアイドルの際どい水着姿が表示されてしまった。  おいおい。よりによって、あの美乳アイドルのビキニをトップに持ってくるかよぉ。  もはや万事休すだ。 「何これ」  女の子の水着姿を見たミオはそれだけ言うと、ジト目で俺の顔を覗き込んできた。  まずい。これは例のごとく、俺の浮気を疑っている時に向けてくる眼差しだ。  ここはうまくごまかし切るべきだろうか。 「あはは。何だろうね、そのサイト。ネットを見るソフトの中に勝手に入ってたのかなぁ」  ひどいなこれは。自分で言い繕っておいて何だが、白々しいにも程がある。  こんな言い訳、ネットの知識がある人には絶対通用しないよ。  何より、浮気関連以外は俺の事を全面的に信頼してくれているミオに、こんなしょうもない嘘で煙に巻こうだなんて手段は、あまりにもこすっからすぎやしないか。  そもそもこのお宝画像集は、ミオが家に来てくれてからは、もう見る事もなくなったサイトなんだ。  だから変にごまかすよりも、聞かれた事に対して正直に答え、ミオの誤解を解くのが正しい里親、そして正しい彼氏のあり方だろう。 「ごめん、今のは冗談」 「え?」 「実はそのサイト、ミオが家に来る前に、ちょいちょい見てたんだ」 「そうなの?」 「うん。目の保養というか、心の栄養というか、そういう目的でさ」 「んー? よく分かんないよー」  あまりにも遠回しな表現を使ったせいで理解に苦しむのか、ミオは困り顔を見せる。  確かにミオくらいの歳の子に〝心の栄養〟とか言っても、そりゃ意味分かんないよな。

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