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32.イカ料理を食べよう!(7)
「なになに。『このお店のイカ料理は、全てが絶品です! 刺し身はもちろん、バター炒めや天ぷら、煮付けにイカ飯など、イカのフルコースが楽しめます』か。評判もすこぶるいいみたいじゃん」
「イカの天ぷらがあるんだ! おいしそうー」
天ぷらという言葉に食いついたミオは、店を訪れた人による評判を読みながら、キラキラと目を輝かせている。
リゾートホテルで食べたアジフライに、今日の晩ご飯のおかずだったかぼちゃのコロッケ。
そして今回は、イカの天ぷらに興味を引かれる我が家の子猫ちゃん。
子供って揚げ物類が好きなのかなぁ。
「レビューを読む限りだと、店内の雰囲気も良さげだし、イカ料理一本でお店を続けられるくらいだから、味にも期待できるかもね」
「お兄ちゃん。このお店ってどこにあるの?」
「えーとな。うちからだと、車で十分くらいのとこにあるらしいよ」
「そうなんだ。じゃあ、そんなに遠くないのかな」
「まぁ、ウサちゃんパークよりは近いよね」
「あはは。そだね」
イカ料理専門店と動物園じゃ業態も違うんだが、何しろ、二人で遊びに行ったウサちゃんパークは、山を一つ越えないとたどり着けないような場所に建ってたからなぁ。
そう考えると、車で十分の飯屋なんて近場だと言ってもいいくらいだ。
「よし。今度の土曜日はここに行こうか」
「うん! イカのお料理、いっぱい食べたーい」
即答でOKをくれたミオは、グルメサイトに載っているイカ料理の写真に心を躍らせ、来たる土曜日を待ち遠しそうにしていた。
ちなみに、烏賊貴族の情報が載っているグルメサイトからは、お店の予約が出来るシステムになっている。
せっかくいいお店を見つけても、当日に席が埋まっているとイカ料理を食べられない憂き目に遭う。
そんな悲劇を回避するべく、俺たちはグルメサイト経由で、土曜日の十九時に二人分の予約を入れておいた。
ちなみに、このグルメサイト『ご近所美味 ナビ』では、掲載しているお店のクーポンも発行してくれるらしい。
おいしいご飯を安く食べられるなら、と思ってそちらもチェックしてみたが、俺たちが行く予定の烏賊貴族では、生ビールのジョッキ中サイズが十パーセント引きという、何とも微妙なクーポンだった。
こちとらお店まで車で行くんだってのに、お酒なんか飲めないよ。
しかしこのお店、アルコール類を出すって事は、ひょっとすると、敷地内に駐車場が無いパターンなのかな?
その点がいささか心配ではあるが、まぁ、無かったら無かったで、近隣のコインパーキングに停める事にしよう。
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