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35.夏祭りに備えて(6)

「ところでミオ。今も、そのショーツを穿いてるの?」 「そだよ。見るー?」  サラダを食べていたミオが容器にフォークを置くと、何のためらいもなく立ち上がり、ルームウェアのズボンに手をかけた。 「わーっ! 待った待った!」 「え、何ー?」 「分かったから。見せなくてもいいから」 「どして?」 「いや、『どして?』って言われてもさぁ……ミオ、人前で下着を見せようとしてるんだぞ? もうちょっと警戒しないと」 「だってぇ。大好きなお兄ちゃんになら、見られても嫌じゃないんだもん」  うう、何て嬉しい言葉なんだ。ただの無警戒かと思ったら、相手が俺だからショーツのお披露目をしてくれるだなんて。  しかし、ここで遠慮なく見せてもらったら、俺はショタコンに加えて、スケベなお兄ちゃんの烙印を押されてしまう。  ショタコンなのはもう諦めるとして、ミオの事をいやらしい目で見るのだけはご法度だ。  俺にだけ気を許しているのをいい事に、その特権を利用して我欲を満たすなど言語道断。  あくまで俺はミオの里親という大切な立場であるのだから、よほどの不可抗力でもない限り、ミオのショーツ姿を直視するのは避けなければならない。  ……いや待てよ。そういう考え方こそが、ミオの事をやらしい目で見ている証拠なのかも知れないな。  我が子が下着姿になっているのを見て、興奮する親がどこにいようか。  世間は広いから、中にはそういう本物の変態もいるのだろうが、あくまで親目線として見れば、何ら意識する事は無いはずだ。  ただ、だからと言って、この場でモロにズボンを下ろして見せてもらおうというのも、ちょっと違う気がするんだよな。  何より今は朝飯の最中だし。 「なぁミオ。今日はデパートにお出かけするだろ?」 「うん」 「ショーツはさ、その出かける前の着替えの時に、ほんのちょっと見せてくれるだけでいいから」 「ほんのちょっとって、どれくらい?」 「そうだな。例えば、上のリボンの部分だけとか」 「えー? それだけじゃどんなの穿いてるか分かんないよ。お兄ちゃん」 「うん。まぁ、そうなんだけどさ」  まいったなぁ、俺なりに精一杯の妥協案を出したつもりだったんだけど、ミオとしては、何としてもショーツの全貌を見せたいらしい。  何で日曜の朝っぱらから、こうまで情欲をかきたてられそうな話題に発展してしまったのか。  それもこれも、ミオが性別を超えた魅惑的なショタっ娘であるせいだ。  これが普通の男の子相手なら、「あぁ、今はボクサーパンツが主流だもんなぁ」くらいの軽い会話で済んだだろうに。

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