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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(26)
「ごめんなさい……」
「あ、謝らなくてもいいんだって! ほら、もう泣かないで、もっかい遊ぼ?」
俺はハンカチを取り出して、ミオの頬をつたう涙を拭い、頭を撫でながら抱き寄せる。
「いきなりだから難しかったね。じゃあ今度は、二人で一緒にやろっか」
「二人で?」
「うん。銃を支えて狙いを付けるところまでは一緒にやって、引き金はミオに任せるよ。最初は当てられなくてもいいから、射的ってゲームを、とにかく目一杯楽しんで欲しいんだ」
「お兄ちゃん……ありがとう」
俺は、再び涙が溢れそうになったミオの目尻にハンカチを当て、頭をポンポンして目一杯慰めた。
ここまで健気で慎み深いショタっ娘ちゃんの笑顔を取り戻すためなら、いくらお金をつぎ込んだって構わない。
たとえ六発が六百発になろうとも、お目当ての景品を撃ち落とし、ミオにプレゼントできるまでは、絶対に諦めたりはしないんだ。
「いくよミオ。さっきみたいに台に銃を固定して、サイトから真っ直ぐ、撃ち落とす箱の真ん中を覗いてごらん」
俺は袖まくりしたミオの腕をそっと支え、耳元でささやくようにレクチャーする。
なにぶん狙いの的が小さいので、構えの段階で手ブレが収まらないと、いかに大きなコルク弾でもあらぬ方向へ飛んでしまうのだ。
「Dの箱が見えたよ、お兄ちゃん」
「いいぞ。それじゃあ、そのまま指を引き金にかけて、思いっきり引いてみよう」
「うん。お願い……当たってぇー」
背後からミオに密着して腕を支え、手ブレを極限まで抑え、しっかり狙いを見据えてから引き金を引かせる。
しっかり空気を取り込み、勢いを得たコルク弾は目標へとまっしぐらに飛んで行き、パコーンという小気味の良い音と共に、D賞の景品箱を吹っ飛ばして台座から落下させた。
「あっ! 当たったよお兄ちゃん!」
「大当たりー! 僕ちゃん良かったねぇ。D賞のアニメ下敷きゲットだよ」
「頑張ったな、ミオ。偉いぞ」
「んーん、お兄ちゃんが一緒にやってくれたおかげだよ。ありがとねっ」
ミオはそう言いながら銃を置くと、身をかがめていた俺の頬に、そっと口づけをした。
「ミ、ミオ!?」
「……えへへ。大好きなお兄ちゃんに、ありがとうのキスだよー」
ああ、天にも昇る心地とはこういう事を言うんだろうな。まさか、美少女に勝るとも劣らないショタっ娘のミオに、こんな形でキスしてもらえるだなんて、役得にも程がある。
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