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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(25)
ミオはぎこちない動きながらも、何とか標的であるD賞の箱へと照準を合わせ、そして引き金を引く。
が、発射されたコルク弾はあらぬ方向へと飛んで行き、台の片隅に並ぶ、全く関係ない箱菓子を吹っ飛ばしてしまった。
「はい、僕ちゃんおめでとう! 『海賊三国志』のお魚スナックに的中だよ!」
射的屋のお姉さんは撃ち落とされた箱菓子を拾い上げると、銃が置かれている台に袋詰めして持ってきてくれた。
今しがた「僕ちゃん」と呼んだ事から、このお姉さんだけは、ミオの性別を間違わなかったようだ。
というか、いかにミオが美少女顔で、うなじが色っぽいからと言っても、着ている浴衣が男の子用なんだから、普通は間違えないよなぁ。
他の屋台のおじさんたちは、俺がミオに男装させているとでも思ったのだろうか。
「お兄ちゃん、外しちゃったよー。ごめんね」
「はは、謝らなくてもいいって。最初は皆そんなもんだし、狙いを付けるのが難しい遊びだからね」
「でも、弾は全然違う方向に飛んで行っちゃったよ? どうすればいいんだろ……」
「そうだなぁ。構えた時に、銃身の上にサイトがあるだろ? そこから目標を覗きつつ撃ってみるとか」
ミオは射的どころか、おもちゃの銃を持つこと自体が初めてらしく、サイトの意味が分からなかったので、それが銃身の上にある出っ張りの事だと教え、再度狙いを付けさせる。
そうして発射された二発目のコルク弾は、惜しくもD賞の斜め右をすり抜け、台座で跳ね返って明後日の方向へと飛んでいってしまった。
「惜しいな、ミオ。上手くなってるじゃん」
「ほんとー? ボク、自信無くなっちゃうなぁ」
「大丈夫だって。まだ弾はいっぱいあるんだし、この調子ならきっと当たるよ」
「そうかなぁ。じゃあ、もっかいやってみるね」
ミオは困ったような顔で再び銃を構え、サイトを覗きながらトリガーを引く。
本人の自信の無さが行動に表れた結果なのか、あるいは単純に空気を取り込めていなかったのかは分からないが、今度のコルク弾は景品台にまで届かなかった。
「お兄……ちゃん……」
「ミオ?」
力無く、コルク銃をその場に置いたミオが目に涙を溜めて、申し訳無さそうに俺の顔を見上げてくる。
その表情から察するに、どうやらミオは、自分のせいでコルク弾のお金を無駄に使わせてしまったと思い込み、えも言われぬ罪悪感に苛まれてしまったらしい。
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