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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(24)

「じゃあミオ、弾を買うから遊んでみなよ」 「え? ボク一人でやってもいいの?」 「もちろんさ。撃ち方も教えてあげるから、ミオが欲しいものを狙ってごらん」 「ありがとう。ボク、頑張るねっ」 「うんうん。て事で弾買います。いくらですか?」 「毎度あり! 弾は六発で三百円ポッキリだよ。大事に使ってね!」  射的というゲームを楽しめるだけでなくて、うまく倒せば景品まで貰えるんだから、弾六発で三百円は、割と良心的な価格設定だよな。  ただ、俺たちが銃を構える位置から、的となる景品が立ち並ぶ台までは、およそ二メートルほどの距離が設けられている。  その条件下にて、幅が十センチにも満たないD賞の景品箱を撃ち落とさなければならないのだから、慎重に狙いをつけなければ、六発なんてあっという間に無くなってしまうだろう。 「いいかい? まずは左手で銃を持って、右手で横にあるレバーを引いてごらん」 「んしょ。何かカチって音がしたよー」 「今ので、弾を発射するための空気を取り込んだ事になるんだ。これをしないと弾が遠くまで飛ばないからね」 「そうなんだ! お兄ちゃん、何でも知ってるんだねー」  壁にもたれて俺たちのやり取りを聞いていた射的屋のお姉さんは、終始和やかな表情だ。おそらく、うちのショタっ娘ちゃんが初々しくコルク銃を扱うさまが、よほど微笑ましく映ったのだろう。  弾込めも無事に終わったので、あとは、目標となるD賞を撃ち落とすだけなのだが、あの小さい的に当てるまで、果たして何発のコルク弾を要するやら。  まぁかわいいミオのためだ。文房具屋で下敷きを買った方が早いとか野暮な事は言わず、多少散財してでも、お目当ての景品を取らせてあげようじゃないか。 「弾は詰めたけど、どうやって撃つの? 教えて教えてー」 「分かったよ。俺が後ろから支えてあげるから、その通りに構えてごらん」  俺はコルク銃の扱い方を知らないミオの後ろに立つと、その細腕をかかえ上げて、左手で銃身を持ち、右手でトリガーを引く姿勢を取らせる。 「構え方はこれで良しと。あとはよく狙いを付けて、右手の指でトリ……引き金を引くだけだよ」 「えっと、あのDって書いてある箱を撃てば良いんだよね?」 「そうだけど、ただ当てるだけじゃダメだぞ。ちゃんと撃ち落とすか倒さなきゃ、下敷きは貰えないからね」 「はーい。ボク、頑張るから見ててね。お兄ちゃん」

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