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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(30)
「あの、お姉さん。ものは相談なんですけど」
「何だい?」
「A賞はお返しするんで、代わりに猫ちゃんのコスプレセットと交換してくれませんか?」
「え! そ、そりゃウチとしては嬉しい申し出だけどさ、ほんとに構わないの?」
「はい。どうしてもC賞が欲しいんです!」
俺の熱意に圧倒されたお姉さんは、何食わぬ顔で商品棚から猫ちゃんコスプレセットを持ってくると、周囲の客に見られないよう、こっそりと景品をすり替える。
そして俺から返品された携帯ゲーム機を箱にしまい込むやいなや、大きく手を叩き、何事も無かったかのように、俺の景品獲得を褒め称えるのだった。
「はい! こちらのお兄さん、見事C賞の、猫ちゃんコスプレセットを獲得だよ! さぁみんなもどんどん遊んで行ってね!」
うはは、ダメ元で持ちかけた取り引きが、あっさり成立してしまった。
そりゃ射的屋としては、一台で二万円は下らない携帯ゲーム機と、せいぜい三千円くらいのコスプレセットを天秤にかけたら、前者の方を置いておきたいに決まっているからな。
とにかく、これでかねてからの悲願が成就した。後は、来たるあの日に、ミオに猫ちゃんのコスプレをさせて、甘いひと時を過ごすだけだ。
*
「ほらミオ、見てごらん。かわいい白猫ちゃんの変身セットだよ」
「すごーい! おててと尻尾まで付いてるー」
「耳はカチューシャ、おてては手袋。じゃあ尻尾ってどうやって付けるんだろうな?」
「ねぇお兄ちゃん、ここ見てー。尻尾の付け根に安全ピンが付いてるから、たぶんこれをショートパンツに通すんじゃない?」
「なるほど、その手があったか」
もしかして、尻尾付きショーツなんかを穿かせるのでは? という良からぬ想像をして勝手にドキドキしていたわけだが、これなら、ミオの普段着である、ショートパンツの上からでも取り付ける事ができそうだ。
「いやぁ良かった良かった。今日は大収穫だな」
「そだね。でもお兄ちゃん、この猫ちゃん変身セットって、いつ使うの?」
「ふふ、それはまだ内緒だよ」
「えー! 教えてよぉ」
ミオはニヤニヤ顔がおさまらない俺の袖を引っ張りつつ、使い道の情報を引き出そうとする。
まぁ、あまり秘密を作るのも良くないし、ヒントだけでもあげるとするか。
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