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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(31)
「そうだな。あまり詳しく話すと冷めちゃうから全部は教えられないんだけど、十月のとある日に、ってだけ」
「んん? 十月って何かあったかなー。猫ちゃん記念日とか?」
「そんな日はありそうだけど、たぶん十月じゃないな。とにかく、お着替えはその時までのお楽しみって事で。いい物もあげるから、期待しててね」
「いい物……」
たくさんの景品を胸に抱えたミオは首をひねり、「いい物」で何か思い当たる物がないか考え込み出した。
そして――。
「分かった! 結婚指輪でしょ、お兄ちゃん?」
「なっ!?」
ミオが突然、周囲に聞こえるほど大きな声で、予想だにしないような事を口走ったもんだから、俺は思わず面食らってしまった。
「違うの? いい物って言うから、ボクは結婚指輪じゃないかなーって思ったのにぃ」
「それはもっと先の話だよ……」
「むー」
俺の返事がつれなさすぎたのか、ミオは残念そうに頬を膨らませる。
確かにその時が来れば、ミオには結婚指輪を買ってあげたいんだけど、さすがに再来月すぐという話ではない。
というか、まだ十歳になって日が浅いショタっ娘ちゃんの細指に合う結婚指輪って、まずジュエリーショップに置いていないよな。
一応、オーダーメイドで作れはするんだろうけど、どの道、ミオと結婚するのは最短でも来年の六月。この子の誕生日の時だという事で話がついているはずだ。
ふう、危うい危うい。この子はスキを見ると、何かと結婚する日を早めようとしてくるんだから、気が抜けないよ。
まぁ、猫ちゃんのコスプレをしたミオに結婚指輪をはめて、俺の腕の中でいっぱい甘やかせるのも、それはそれで至福のひとときなんだろうけれども。
「さ、結婚指輪の話はもうおしまい。とにかく、再来月を楽しみにしててよ」
「分かったよー。じゃあ、その時には猫ちゃんの格好で、お兄ちゃんにいっぱい甘えてもいいんだよね?」
「うん。きっと素晴らしい日になるから、このコスプレセットは大事に取っておこうな」
「はーい!」
ミオは元気良く右手を上げ、はち切れんばかりの笑顔で返事をした。
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