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41.ショタっ娘のお祭りデビュー(42)
食べ切れない時は父親にあげる、という案は、里香さんなりに、お祭りのおみやげを持って帰りたいという思惑が働いたのだろう。
怜香さんもその意図を理解したからこそ、娘のおねだりを聞いてあげる事にしたのだと思われる。
「ミオ。ちょうどお店の近くにいる事だし、俺たちも綿飴を買って帰ろうよ」
「うん。ねぇお兄ちゃん、綿飴は、プリティクッキーの袋のやつにしてもいい?」
「もちろんいいよ。ミオの好きなやつを選んで構わないからね」
「ありがとう! ボク、すっごく嬉しいよー」
ミオはそう言うと、人目もはばからずに抱きついてきて、俺の腕の中で頬ずりを始めた。
うちの子猫ちゃんの堂々とした甘えっぷりは、さっきまで一緒に遊んでいた、クラスメートの里香さんたちの目に入ってしまったわけだが、果たして彼女たちには、この光景がどう映ったのだろうか。
「すりすりー」
「ミ、ミオ。そろそろ……」
「いいなぁ、ミオちゃん。大好きなお兄さんにいっぱい甘えられて」
「あらあら。お二人はほんとに仲がよろしいんですね。とても微笑ましいですわ」
この様子じゃあ、どうやら里香さんたちには気づかれていないようだけど、実を言うと俺たちは、養育里親と里子という関係のはるか先を進んでいる。
何しろ、ミオとは近い将来に結婚する前提で、恋人として付き合っちゃってるんだからね。
さすがに、俺たちが恋人同士だという事実が今、明るみに出るのはまずい事くらい、天然なミオでも理解している。だからこそ、この場でも口を固く結んでいるのだが、人前で抱きついたり頬ずりしたり、というスキンシップには歯止めが効かないらしい。
もっともこの程度だったら、年の離れた兄貴を父親代わりだと思って甘えている……くらいにしか映っていないようだから、止めさせるほどの事でもないだろう。
「ほら、ミオ。お店が閉まっちゃう前に、早く綿飴買って帰ろうよ」
「うん! ねぇねぇ里香ちゃん、どの袋がいいか、一緒に選ぼー」
「じゃあお揃いが良いよね。エリナちゃんの絵が描いてあるやつにしようよ」
「そだね。すみませーん、このピンクの袋の綿飴、くださぁい」
「あいよ、毎度あり!」
ちなみにエリナちゃんとは、ミオや年頃の女子が好きなアニメ、『魔法少女プリティクッキー』の主人公を務める少女である。
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