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46.花火で遊ぼう!(13)

「その理由はいろいろあって全部は答えられないけど、〝品種改良〟といって、果肉の色を赤色に変える事で、スイカの持つ栄養価や甘さがが変わるのよ」 「ヒンシュカイリョウ? なぁにそれ?」 「えーとな。品種改良ってのは、一般的に食べにくいとか食べられる部分が少ない、あるいは味が良くないものを、研究に携わる人の手で、おいしく作り変える事なんけどさ」 「え!? そんな事ができるの?」  品種改良という言葉の意味を知ったミオは、口が半開きになり、目を丸くして驚いている。  品種改良は食用の果実や野菜だけに留まらず、牛や豚、鶏などの家畜動物にまで及ぶ、研究と技術の結晶だ。  ミオが驚いた理由(わけ)は、そういったあらゆる植物や動物を作り変える事ができる、人類の積み重ねてきた叡智に衝撃を受けたからだろう。 「できるんだよ、それが。たとえば、俺たちが毎朝食べてるバナナがあるじゃん? あれも品種改良で食べやすくなったんだぜ」 「えー、ほんとに? でも、何を改良したのかなぁ。元々は真っ赤なバナナだったとか?」  俺たち庶民にとって、ごく身近な果物であり、毎日の朝食には一本ずつ食卓に並べているバナナ。食べごろとなった黄色の皮をむいて、露出した果肉を「おいしく」食べるのが、俺たちの毎朝のルーティーンになっている。  その「おいしく」食することができるようになった現代までに、遺伝子の突然変異で種無しのバナナが生まれた事に加え、品種改良を重ねることで、現在の味がいいバナナが完成したのだが、繰り返されたであろう試行錯誤の回数は、とても想像がつかない。  で、ミオはさっきスイカの果肉を赤くするという話を聞いていたからか、色繋がりで、品種改良によって赤いバナナが黄色くなったのでは? と推察しているようである。  ミオが話の流れで、すかさず新たな着眼点を持って洞察力を働かせられるのは、答えの正誤はともかくとして、良く頭が回る、賢い子だからが(ゆえ)なんだと思う。 「例えばさ。まるまる一本のバナナを輪切りにすると、果肉の真ん中に、点線のようなものが円を描いているのは分かるかい?」 「うん」 「あれはね、実はバナナに含まれていた種の名残りなんだよ」 「へ? バナナには種があったの!?」  俺が特殊な品種改良の一例としてバナナの話をしたところ、ミオは黄色いスイカの秘密よりも、バナナに種があった事の方に興味が移ったようだ。

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