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46.花火で遊ぼう!(12)

 まだ頭が柔らかく、スポンジのように知識を吸収していくミオは、疑問に感じた事は何でも聞いてくる。  近代で幅広く普及した、白熱電球や蓄音機などを実用できる製品として世に送り出した〝発明王〟トーマス・エジソンは、少年時代は事あるごとにWHY(なぜ)? を抱いては学校の先生方に問いかけ、面倒がられた結果、退学させられたそうだ。  うちのミオもそんな発明王に負けず劣らず、好奇心が旺盛で知的探究心も強いため、ところどころで「なぜ?」を抱く事がままある。  ミオが分からない物についてあれこれ尋ねるのは、生きてゆく上で必要な知識を蓄えるためにもなることだから、ごく自然な行動原理だと言える。  で、あるがゆえに、ミオの成長を見守る立場の俺やお袋たちは、全力を尽くして知識や知恵を授けてあげたいと思うのである。 「俺は昔、誰かの旅行記をサラッと流し読みしたんだけど、実際スイカに砂糖をかける国があったらしいよ。普通でも甘いスイカの実が、より甘くなるんだとか」 「そういう場合は、砂糖よりもグラニュー糖を使っているかも知れないわね。それでねミオちゃん、これは番外編だけど、スイカの皮を砂糖漬けにして煮込んで、スイーツとして食べるご家庭もあるのよ」 「え、皮まで食べられるんだ! スイカってすごいんだねー」  いたく感心しているミオの横には親父殿が鎮座しているのだが、特に会話に加われるほどの知識を持ち合わせていなかったのか、ただ黙々と黄色のスイカを食していた。  あるいはただ単に、親父はカニを食べる時のように集中するがあまり、ついつい口数が減ってしまうタイプのお人なのかも知れない。 「でも、どうしてスイカのカニ……何だっけ」 「うん? ミオが言いたいのは、ひょっとして果肉の事かい?」 「あ! そうそう、それだよー。ボク、果肉のお話を聞きたかったの。どうしてスイカには、黄色い果肉のがあるのかなって」 「親父……は、今まさに食ってる最中だから聞くのは遠慮するとして、お袋、どうしてだか分かる?」 「わたしもテレビ番組を見た時の聞きかじりだから、情報の真偽は分からないけど。スイカの果肉は元々が黄色かったらしいわよ。あと、家庭菜園みたいに個人で育てる場合は、白い果肉のスイカも栽培されるんですって」 「そうなんだ。じゃあ、どうしてスイカの果肉は赤くなったの?」  スイカの果肉は元々赤色ではなかった。という情報がお袋によって明らかにされたので、ミオは質問を変える事にしたようだ。

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