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63.初めて尽くしのお泊まりデート(5)

 少し遅めの昼食を終え、ベッドで横になり、およそ一時間ほどの昼寝から目覚めたころ。  寝ぼけまなこのまま体を起こし、シトシトと音がする窓の外に目を向けると、敷地内のあちこちで、雨ざらしになりかけの宿泊客たちが(あわ)てふためいていた。  その状況から推察するに、どうやら俺とミオが昼寝をしている間、全く予期せぬ雨に見舞われ、せっかくのバーベキューがフイになってしまったのだろう。  で、今は、かろうじて無事だった食材の保護と、雨宿りができる軒下への避難に追われていると。  まぁ一概に悲鳴と言っても、子供たちの方は水浴び感覚なのか、どこかしらはしゃいでいるように見えるんだよな。敷地の水はけは良さそうだし、肝心のメシが無事でさえあれば、多少のアクシデントは苦にもならない。  ホントのところは分からないが、何となく、俺の目にはそんな様子に映った。 「んー……おにい……ちゃん? どこぉ?」  しばらくの間、窓に張り付いて外を見下ろし続けていると、起き抜けらしいミオが、隣で眠っているはずの俺を探し始めた。 「こっちだよ、ミオ。おいで」 「にゃあ!」  ベッドから跳ね起き、小走りで抱きついてきたショタっ娘ちゃんを抱き上げた俺は、先ほどまで見ていた場所を指し示す。 「ほら。あれ見える?」 「んん? お外がどしたの? お兄ちゃん」 「ついさっき、雨が降り出したみたいでさ。そのせいで外で遊んでた皆が、散り散りになっちゃったんだよ」 「そうなんだ。何だか、ボクたちがお泊まりに行くと、いつも雨になってる気がするねー」 「あ!? は、はは……それは、たぶん偶然じゃないかな」  俺自身は雨男や晴れ女といった迷信には否定的なのだが、おそらくミオは、リゾートホテルの宿泊前後で雨に見舞われた、あの記憶が頭をよぎったのだろう。  今回のお泊まりデートこそ、コテージへの宿泊までがつつがなく済ませられたので、あの時ほど深刻ではないものの、気になる点がゼロだと言えば嘘になる。ただ、あまりネガティブな事をミオの前で口にするのもな。 「まぁ、確かに雨足は強いけど、空は青々としてるし、じきに止むと思うよ。いわゆる、『狐の嫁入り』ってやつだろうから」 「ふーん。でも、その『狐のお嫁さん』って、またいつ来るか分からないんじゃないの?」 「うっ、なかなか鋭いじゃないか。実を言うと、俺が心配してるのもそこなんだよ。もしも雨のせいで川の水が増えて、危ないから魚釣りは禁止! みたいな事になっちまうと……」  せっかくの楽しみが減っちゃうよね、とまで言うつもりだったのだが、何かを察したらしいミオは抱き上げられたまま、俺の腕に頬ずりし始める。 「ボクはだいじょぶだよ。お兄ちゃんと一緒にいられたら、魚釣りができなくても楽しいから!」  はぁー、カワイイ。こんなに愛らしい天使が俺だけの恋人だなんて、今更ながら夢を見ているみたいだ。  とはいえ、その優しい言葉に甘えてばかりもいられない。ステキな思い出を残すために、彼氏の俺が何かしら、無い知恵を絞ってみるとしますか。

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