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第2話

彼は、まだあのころの面影を漂わせていた。 艶やかな黒髪、線の細い病的に白い肌。 が、もう以前の彼とは全く違う様になっていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 面接は僕が取り仕切った。 社長自ら面接をすると聞き部下は少しざわつくが、 反対はせず何も聞かず認めてくれた。優秀な部下だ。 そして時計の針が十時を回り、彼は個人面談の部屋に入ってきた。 そしてパイプ椅子に座り僕の目をまっすぐに見つめる。 今までの記憶が過り、目を伏せるが今までの僕とは違うと顔を上げ、 僕は重く口を開く。 「...。伊勢君。」 すると自分の名前を呼ばれるとは想像していなかったのか、一瞬止まる桃李くん。 「…なんで僕の名前を社長がしってんの?」 昔と変わらない、誰に対しても同じような態度をとる彼を見て、 気が引き締まる。 「僕だよ。檪原海斗(いちはらかいと)。、、、覚えてるかな。」 ガシャン、と音を鳴らすのは桃李くんが倒してしまったパイプ椅子。 が、僕はそんな君にかまわず続ける。 「お父様の会社、倒産してしまったらしいね。…」 すると桃李くんは先ほどまでまっすぐに見つめていた目をそらし、 顔を赤くし唇を噛む。 愛おしい。高揚する。僕の不埒な性癖か、他人。彼を屈服させるのをずっと想像し続けていたのだ。 ああ、震える。かわいいなぁ、、本当に。そして僕は運命の言葉を、君に問いかける。 「…いいよ、採用だ。、ねぇ、桃李くん。僕のものにならないか?」

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