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第10話
俺と進藤は屋上を出て教室に向かおうとしたけど、HR開始のチャイムが鳴り、諦めて屋上で1限まで時間を潰すことにした。
担任にサボるなって言われたし、ちゃんと授業出ねえとな…。
「HRサボるの初めて」
「普通はサボったらダメだけどな」
段々と太陽の日差しが強くなり、肌がチリチリする。
隣に座る進藤をチラリと見て、肌の白さに改めて進藤の美しさに気づく。
儚いという言葉が似合うくらいの綺麗さに少し気まずくなる。
「…お前、ほんと白いな」
「え?あー、どれだけ外にいても赤くなるくらいで、ずっとこれかな」
細長い指が肌をさする。
その動きが何故かエロく感じる。
…ヤバイ。
俺は変態かも知れない。
「どうしたの?」
「いや…」
恋愛としての好きなのか分からないこの状況で、エロいと感じてしまう俺は変態だ。
…好きと思ったのは事実だ。
でもそれは友情なのか、愛情なのか。
それに気付ける日は来るのだろうか。
「あ、国村くん。今日の放課後、何か予定ある?」
「今日?」
今日はバイトのシフトが入っている日だ。
進藤も、俺がバイトしている事を知らない。
まあでも…進藤なら、言ってもいいのかも…。
「あー…、バイト」
「えっ、バイト!?すごい!」
「そんな事ねえよ」
高校生になれば誰だってバイトはできる。
バイトが禁止だったり、その他できない事情が無ければ。
だから、全然凄くない。
「すごいよ!俺、バイトしたいけど勇気出ないんだよね」
「勇気?」
「うん、なんか緊張する」
緊張か…。
確かに緊張したな。
バイトを初めてまだ数ヶ月。
もう慣れてきたけど、あの時は確かに緊張した。
「ちなみに何のバイトしてるの?」
「飲食系」
「凄い…」
進藤は目をキラキラと輝かせながら俺を見る。
「そんな事ねえよ…」
「そっかあ…じゃあ、今日は残念だね」
「悪い」
この前無理言って休ませて貰ったし、さすがに今日は休めない。
空いてる日が有ればと思い、スマホの中のカレンダーを見る。
…今週土曜日、バイトなし。
「土曜日空いてる」
「えっ…、ほんと!?じゃあさ、一緒に出かけない?」
「出かけるって…どこに?」
「んー、どこか行きたいところある?」
質問に質問で返すのかよ…。
行きたいところを考えてみても、いつもパッと思いつかない。
適当に着いていくだけ。
「無ければ俺、考えとくけど」
「…じゃあ、よろしく」
土曜日…。
進藤と出かけるのか…。
放課後にカフェに行ったことはあっても、それ以外に進藤と出かけたことは無い。
なんか緊張するな…。
「あ…、そうだ。今更なんだけど、連絡先交換しない?」
そういえばまだ進藤の連絡先を持っていなかった。
学校以外で会うことないし、必要ないと思ってたから。
「そうだな」
俺はズボンのポケットから再度スマホをとり出した。
「…よし、これで登録完了!何かあればこれで連絡出来るね」
「そんな連絡する事ないだろ」
「あるよ!おはようとか、おやすみとか!」
「恋人か」
と言って、俺はハッとした。
恐る恐る進藤の顔を見ると、やっぱりキラキラとした眼で俺を見ていた。
「恋人!?俺たち恋人同士!?」
「ちげえよ…」
明らかに残念そうな顔をして進藤は立ち上がる。
「そろそろ戻ろっか」
「…そうだな」
恋人なんて…そんな簡単になれるものじゃない。
男同士だから。
これが一番大きな課題になる気がする。
だから、今、このあやふやな感情の状態で進藤に気を持たせるような発言は気をつけなきゃいけない。
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