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第14話
よくあんなに激しいセックスをした後に、ガッツリ肉なんか食えるよなあ、なんて思いながら晴人は三浦を見ている。
「美味いです、やっぱりセックスの後は肉ですよ」
「はあ……よかったね、性欲も食欲も満たせて」
逆に晴人は疲れてしまい、食欲が全くない。味噌汁を作って、それを啜っていた。
二人は初めてのセックスを終えた後、何だか盛り上がってしまい、三回も挑んでしまったのだ。
それにより、晴人はしばらく足腰が立たなくなってしまったものの、三浦が空腹を訴えたので、身体に鞭打ち、台所へ立った。
そしてリクエストされたローストビーフ丼を作った。ローストビーフは難しく思われがちだが、ラップとお湯があれば意外と簡単に作ることができる。
無理をさせた自覚があったのか、三浦は何度も晴人の様子を見に来た。しかし晴人は基本的に料理はひとりで行いたいので、それを断る。聞き分けの良い三浦はそれから料理を手伝おうとはしなかったが、遠くから様子を見ていた。
自分の分は野菜たっぷりの味噌汁、三浦は肉たっぷりソースもたっぷりのローストビーフ丼。
それらを今、テーブルを挟んで食べている。
三浦は本当にお腹が空いていたのか、黙々と食べ続けていた。
そして、あっという間に大きな丼ぶりが空になっていく。
「美味しい、お代わりありますか?」
「あるよ、よそってきてあげる」
その言葉を予想して、米も余分に炊いてあるし、肉もソースもたくさん用意してある。
「自分で行きますよ」
「良いから、良いから」
台所へ行き、先ほどと同じように丼ぶりに米と肉を装い、ソースをかけ、三浦に渡す。
「ねえ、幸せ?」
尋ねると、三浦は口のモゴモゴさせたまま、キョトンとしていた。だが、すぐにとびきりの笑顔を見せる。
「幸せです!」
「よかった、俺も幸せだよ」
何でも笑顔でよく食べる晴人の恋人がきちんと仕事を全うし、また晴人の元へ帰って来ることができるようにするためにも、たくさんの美味しいものを食べさせてあげたい、と思う。
晴人も釣られて、満天の笑顔を向けた。
終
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