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 小さな穴に、無駄に大きな自分の逸物をゆっくりと埋めていく。  すると、佐渡様が声を漏らした。 「あ……っ、んっ」  最愛の方が、俺なんかの逸物で震えている。……抵抗もせず、ただ受け入れてくださっているなんて。  ──佐渡様、お慕いしております……っ。  口に出してはいけない気持ちを、必死に飲み込む。こんな気持ち、佐渡様からしたら萎えるだけだ。  性処理用の玩具として扱ってくださるだけでも、構わない。  口付けも許されなければ、必要以上に触れることすら許されなくても、いいじゃないか。  ──それでも、俺が抱いている間は【皆のこころちゃん】ではなく【俺だけの佐渡様】なのだから。 「んん……っ! は、ぁ……っ」  佐渡様が、切なげな吐息を漏らす。  狭くてキツイ佐渡様のナカは、いつも熱い。溶けてしまいそうなほどの熱に、俺は思わず体を震わせながら呻いた。 「く、ぅ……ッ! 佐渡、様……ッ」 「あッ!」  佐渡様の体が、ビクリと大きく震える。  佐渡様は目を丸くして、俺の顔を見た。 「な、なんで……っ? 自分の置かれてる立場、分かってる……?」 「わっ、分かっております……ッ」 「ならどうして、もう射精してるわけ……?」  佐渡様のご指摘通り。俺は……佐渡様のナカで、熱を吐き出してしまったのだ。  尊敬している両親に、こんな光景を見せるわけにはいかない。そんなことは、分かっている。……それでも。 「──佐渡様のナカが、気持ち良くて……ッ」  ──好きな人と繋がっている快感には、勝てない。  我ながら、とんでもない変態だという自覚はある。両親に幻滅される恐怖より、この状況を楽しんでいる自分がいるのだから、驚愕だ。  佐渡様はそんな俺を、驚いた様子で見つめている。 「……ホント、真宵君ってサイテイ」 「申し訳ありません……っ」 「とか言いながら、ちゃっかり勃起してる真宵君。……ホント、サイテイ」 「ありがとうございます……っ」  佐渡様からしたら、これはお仕置きだ。  けれど、どうしたって……俺にとっては、ご褒美でしかない。 「動きます……ッ」 「あ、ちょっと──ぁあ、っ!」  深く挿入すると、小柄な佐渡様がビクンと体を跳ねさせる。  ゆっくりと引き抜き、すぐさま奥を目掛けて突き挿れた。佐渡様の腰が反射的に逃げようと動くが、すぐに掴んで、引き寄せる。 「あっ、ん! 真宵、君……っ、勝手に……触──あっ!」  俺の家で。  家族が揃うリビングのソファで、崇拝している神のような主が。  家畜である俺の逸物を高貴なお尻で咥えこんで、喘いでいらっしゃる。 「ぁんっ!」  奥深くを突く度に、細い腰が跳ねた。……そんなお姿も、愛らしい。  行為の際、普段は必要以上に肌を晒さない佐渡様が、衣服を全て脱ぎ捨てて、俺の下で俺に抱かれて……。駄目だ。ご褒美要素が多すぎて、脳内処理しきれない。 「真宵、くぅん……もっと、ちゃんと動けないの……っ?」  感慨に耽ってしまい、行為を疎かにしてしまっていたらしい。  自分だけが感じてしまうなんて、愚の骨頂。俺は気を取り直し、佐渡様の腰に手を添えた。

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