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②:11 *
俺は慌てて佐渡様の腰を掴み直し、逸物を奥まで深々と挿入する。
「ひゃぁ、んっ!」
小柄な体が、大きく跳ねた。
佐渡様の柔肌はうっすらと汗をかいているようで、しっとりとした触り心地が堪らない。
「佐渡様、佐渡様ッ!」
「ん、あ、あっ! 勝手に、触るなって……何回言わせ──ぁあっ!」
佐渡様は、高貴なお方だ。俺のような家畜が体に触れるのを、良しとはしない。
……だというのに、繋がることは許してくださる。
小柄な佐渡様の尻穴は、とても狭い。俺のを受け止めているのが、不思議なくらいだ。
それを見るに、佐渡様は俺以外の誰か相手に体を許しているわけではないだろう。もしもそうなら、もう少し緩くてもおかしくない。
佐渡様の腰から手を離し、自分のソファに手をついて腰を動かす。
「あ、あっ! この、租チン……っ!」
「勿体無きお言葉……くッ!」
「あ、やぁっ!」
抱かれているのは佐渡様の方なのに、主導権は完全に佐渡様のものだ。
佐渡様の悪態に、下半身が反応する。『租チン』というワードだけで、射精してしまう。
精液を内側で吐き出された佐渡様は体をしならせた。
「あ、ついぃ……っ。……勝手に、ナカに出さないでよ、ヘンタイ……っ」
「も、申し訳ありません……ッ」
やはり佐渡様は、とてつもなく不機嫌そうだ。いつもなら、ナカに出したらご満悦といった表情をするのに、今の佐渡様は俺を睨み付けている。
目尻に涙を浮かばせている佐渡様が、忌々しそうに呟く。
「──ゴミクズ低能ディルドのくせに、他の男に色目なんか使っちゃってさ……。真宵君の、バ~カ……っ」
その、呟きに。
俺は思わず、ピタリと、動きを止めてしまった。
「色目、ですか? ……俺が?」
困ったぞ。そんなもの、使った覚えがない。
けれど、佐渡様は苛立った表情のまま俺を睨み付けている。
「使ったんでしょ……っ、だから、あんなブ男に……告白されたんだ……っ」
思わず、目を丸くしてしまった。
涙を浮かべたままの佐渡様が、忌々しそうに吐き捨てた言葉。予想外の発言に、驚くなという方が無理な話だ。
佐渡様は自由に動かせる両脚を俺の腰に回すと、鋭く睨んだまま言い放った。
「──真宵君はボクの物だから、他の奴のところになんか行かせないよ。一生ボクに尽くして、ひとりで死ぬって決まってるんだから……っ」
そこで、ようやく。佐渡様がどうして怒っているのかが、分かった気がする。……あぁ、理解できたぞ。
──俺が、告白されたからだ。
佐渡様のお散歩に、付き合わなかったからではなく。ましてや、佐渡様をないがしろにしてしまったからでもない。
──俺が、他の誰かに関心を持たれたからだ。
佐渡様は決して、俺が好きというわけではない。今の言葉で、付き合うつもりが無いのは分かった。
けれど、俺が誰かと付き合うのは。俺が誰かの物になってしまうのは。……嫌、なんだ。
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