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第5話《1》
「今日は何をする予定なんだ?」
「今日は昨日教えてもらった文字の綴りをエリオットさんにみてもらってから絵本読んで、掛け算の仕方教えてもらうんです」
朝一緒のベッドで目を覚まし、ライアンさんのお膝に抱っこしてもらいながら朝食を食べながらその日の予定を話す事が朝の日課になった。
あの日エリオットさんに絵本を読んでもらったのがきっかけで文字の読み方や書き方、簡単な計算を教えてもらっている。
初めてライアンさんに教えてもらった「Luke 」と「Lyon 」は何度も練習したからお手本を見なくても書けるようになった。
実は更に勉強に興味を持った理由は僕とライアンさんの名前、初めの文字が同じだったことが嬉しかったからっていうこともある。
ライアンさんのお手本を見ながら初めて自分で書いてみた2人の名前は真っ直ぐに線が書けずかなりぐちゃぐちゃしていて汚い字だったのに僕が初めて書いたものだからとライアンさんは額に入れて執務室に飾ってくれている。
「そうか。俺は城の方で仕事をしてくる。昼は戻れないと思うからエリオットと食べていてくれ。その代わり夕食には間に合うように帰ってくるから」
「はい」
王様として色々な決め事をしたり会議をしたりライアンさんはいつも忙しそう。
それでもお城で仕事をしていても戻れる時はお昼も戻ってきて一緒にご飯を食べてくれる。
ふとライアンさんが僕の首筋に顔を埋めた。
今日だけで何回かライアンさんがこうしてるけど僕、汗かいてるのかな。
不安になって手が耳に伸びるとライアンさんの顔が左右に動いて僕の顔にライアンさんの耳が当たってくすぐったくて笑ってしまった。
「じゃあ行ってくるな」
「いってらっしゃい」
「……エリオット、何かあれば直ぐに知らせろ」
その時の僕は知らなかった。
いつもよりフェロモンが強くなっていた事を。
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