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第3話

 結局、遅刻することなく学園へとつきました。  ハル兄は「それじゃあ、気をつけるんだぞ」といつもの笑顔で僕を見送ってくれました。  それから一人になった僕は、取り敢えず荷物を置くために学生寮へと向かおうと思ったんですが……。 「……ここは、どこでしょうか」  暫く歩いてる内に迷子になってしまったようです。  似たような建物がいっぱいある中、どうしましょうかとうろうろしていると、用務員らしき方を見かけました。体格のいい方その用務員さんは、遠くから覗き込んでいた僕に気付いてくれたようです。 「ん? どうしたんだ、ぼく」  その人は僕のお父さんと同じくらいの歳の方でしょうか。優しそうな笑顔を浮かべる用務員のおじさんに、僕はほっとしました。 「あの、お仕事中に申し訳ございません。今日からこの学園に入学することになったのですが、学生寮の場所が分からなくて……」 「ああ、新入生か。さっきも迷子になってる子がいたよ。よかったら案内してあげようか」 「ありがとうございます、よろしくお願いします」  ぺこりと頭を下げれば、用務員さんは朗らかに笑います。そして「君は礼儀正しいね」と分厚い掌で背中を撫でられ、少しびっくりしました。 「それじゃあ行こうか」 「は……はい、よろしくお願いします」  こうしてアキ兄やハル兄以外の他の人に触れられるのは初めてでした。昔からあまり身内の人間以外と接することがなかっただけに少し緊張しましたが、もしかしたら一般的なことなのかもしれません。ならば、慣れないと。そう僕は決意し、用務員さんに腰を抱かれながらもそのあとに着いていく。 「君、名前は?」 「えと……ユキ、神代雪尚といいます」 「そっか、ユキ君っていうんだね。いい名前だね。君によく似合ってるよ」  歩きながらも、用務員さんは僕の肩、背中、お尻などいろんなところに触れてきます。それでも揉むようなものではなく、指先が触れたり手の甲が当たるくらいでしたので僕は気にしないことにしました。  それよりも、大分歩いてるのに他の生徒の姿が見当たらないことが不安でした。  もしかしたら僕はもうすでに遅刻をしてて、皆もう入学式を始めてるのではと思ったからです。 「あ、あの……学生寮はここから結構離れてるんでしょうか……?」 「ああ、そうだね。この学園は少し特殊でね」 「そうですか……すみません、面倒おかけしてしまい」 「気にしないでいいよ。それに、君みたいな可愛い子に頼ってもらえるのは嬉しいからね」  そう用務員さんは僕の肩を抱き寄せます。そのまま撫でるように二の腕まで触れられると自然と身体が密着してしまいました。それから、なんとなく嫌な予感がして「あの」とやんわりとその手を離そうとすれば、そのまま指を絡め取られてしまいました。 「ん? どうしたんだい?」  恋人のように掌と掌をくっつけるように握られ、背筋が震えました。気のせいだと思い込もうとしたのですが、明らかにその用務員さんの触れ方には別のものが含まれてるのを肌で感じてしまったからです。 「お仕事でお忙しいと思いますので、ここから先は場所を教えていただければ大丈夫なので……」 「気にしなくても大丈夫だよ。これはおじさんの仕事だしね」 「……そ、……そう、ですか」 「それにしてもユキ君の手は小さいね、赤ちゃんみたいだ」 「……っ、ぁ……」  にぎにぎと指を絡められ、つい恐怖で固まってしまいます。手を離そうとしても所詮は子供と大人、それも僕は生まれてこの方筋肉とは無縁でした。用務員さんの力はすごく強くて、そのまま手を引っ張られればつい用務員さんの胸の中に飛び込んでしまう形になってしまいます。がたいの良い用務員さんの腕の中にすっぽりと収まってしまう身体。ヤニの匂いが臭くて、つい顔をしかめたときでした。用務員さんの手がお尻に触れます。  それはさっきみたいにぶつかったりするようなものではなく、分厚い掌は僕の尻の肉を包み込むように這わされました。 「ぁ、あの……」 「君、細いね。もっと食べた方がいいんじゃないか? ここなんてほら、おじさんの手に収まるくらいだよ」 「ん、っ……ぁ、や、めて、ください……ッ」 「嫌だな、ユキ君。おじさんは君の心配をしてるんだよ、この学園のガキどもはどうも大人へのマナーや礼儀が分かってない猿しかいないみたいだからね。……君みたいないい子はおじさんも心配なんだ、他のガキどもに良からぬ目に遭わせられるんじゃないかってね」  言いながらも制服の上から尻の肉を捏ねるように揉まれ、時折お尻の穴を広げられます。そのまま指ですりすりとお尻の穴を撫でられるのが嫌で、必死に用務員さんの腕から抜け出そうとしますがびくともしません。それどころか用務員さんは僕のつむじに顔を埋め、そのまますーすーと匂いを嗅ぎ始めました。 「ひぅ……っ、なんで、嗅いで……ッ」 「ユキ君、匂いまでいい匂いなんだね。本当に男の子なのかな?」 「ぼ、僕は……男です……っ、これ以上は……」  他の大人の人を呼びますよ、と言いかけたときでした。いきなり顎を掴まれ、そのまま唇を重ねられます。 「っん?! っ、ふ、……ッ、ぅ、……〜〜ッ!」  ぢゅぶ、ぢゅる、と唇の皮ごとしゃぶられ、音を立てて吸い上げられた瞬間血の気が引きました。  キスは大切な人とするものだと兄さんたちに教えられていた僕は、名前も知らない、父さんと同じくらいの初対面のおじさんにキスされたことがなによりもショックでした。  逃げようともがきますが、太い舌を唇の隙間から割り込まれてしまえば更にパニックになってしまいます。その間もお尻を揉んでいた手は止まらず、臍の辺りに当たる硬い感触をごりごりと更に押し付けられると血の気が引きました。 「っん゛っ、ふ……かわいいねえユキ君……っ、は、舌なんて小さいじゃないか」 「な、ん゛……っ、なんで……っ」 「ここは男子高だからね……たまにあるんだ、男好きのビッチが勝手に忍び込んで悪さしたりね。だから、これもおじさんの仕事の一環だよ」  言いながら、片方の手が胸に伸びます。平らなそこを揉まれ、シャツから浮き出た乳首を指先で優しく撫でられると血の気が引きました。アキ兄とは違う、優しいというよりもねっとりと絡みつくような厭な触れ方でした。 「んー、流石に服の上からじゃ分からないなあ」 「も、ぉ……っ、や、めてください……っ」 「でも乳首はぷりっとしてるね、ほら、こうして触るとすぐに浮き出てくる」 「っ、く、ひ……ッ!」  ビクビクと跳ね、仰け反る胸。僕が逃げないようにするためでしょう。臀部から背筋、そして背中へと這い上がってくる手に支えられたまま、大きく逸らされた胸元に用務員さんは顔をうずめます。そしてシャツの上から突き出た乳首に吸いつかれ、ぎょっとしました。 「っ、ふ、や……っ、な、にを……ッ」 「っん、……この乳首は女の子じゃないか? 男はこんなエッチな乳首してないだろ」 「っ、ぁ、ち、が……います……僕は……ッ、ひ、う」  用務員さんにしゃぶられ、その一部だけ唾液で濡れて透けたシャツの下、乳首の色すらもうっすりと浮かび上がりひどく恥ずかしくなります。  兄さん、誰か、助けてください。やっぱりアキ兄の言うとおり僕に独り立ちは無理だったのでしょうか。 「ちゃんと、こっちも確認しないといけないね」  そう、肉厚な掌が胸から腹部を撫でるようにゆっくりと下がり、僕の股間を柔らかく撫であげます。恐怖で縮み込んだそこをふにふにと掌で刺激されれば、脊髄反射でふるりと背筋が震えました。 「ぁっ、ん、う……ッ、いやです、これ以上は……」  焦らすようにジッパーを降ろされ、前開きから差し込まれた指に下着越しにぬちぬちと性器を刺激されます。 「あれ? 下着が濡れてるじゃないか、やっぱり女の子だったのか?」 「う、あ……っ」 「いけないな、こんないやらしい子はちゃんとお仕置きしないとね」  そう、お尻に硬いものを押し付けられたときでした。ふと、そう離れていないところから複数人の話し声が聞こえてきたのです。  その声に気付いたのか、用務員さんは明らかに焦った様子でした。  僕はというと、考えるよりも先にその人の腕を振り払って逃げ出しました。先程のように羽交い締めにされたら今度こそ逃げられなくなるとわかったからです。  よたよたとそれこそ鈍足の全力疾走でしたが、僕は夢中になってました。

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