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04※

「な、ナハトさ……っ、ん、ぅ……っ!」  開かれたシャツ、その胸元に顔を埋めてくるナハトに驚くのも束の間、ナハトの赤い舌先が乳首を掠めただけで下半身がびくりと跳ねる。  そのまま人の乳首を咥えたまま、ナハトに舌先で乳首を穿られればそれだけで脳汁が溢れそうだった。  目のやり場などなかった。犬のように舌を這わせ、時折歯で柔らかく乳首を嬲られればそれだけであっという間に下半身へと熱は溜まる。 「……っ、は、ぁ、……っ、んん……っ!」 「腰、揺れすぎ。……それ、わざと押し付けてるわけ?」 「んっ、ひ、」 「……堪え性のないやつ」 「っご、ごめんなひゃ……っ、ひっ、ぅ゛……っ!」  唾液でたっぷりと濡らされた乳首をぬるぬると舌先で転がされ、逃げようとしていた下半身をナハトによって封じられる。俺の股の間に膝を潜り込ませたナハトは、そのまま柔らかく下半身を押し上げてくるのだ。 「……っ、ぁ、……っ、な、はとさ……っ」  ――もっと、直接触ってほしい。  そんな思考が頭を過ぎった時、ナハトの歯に乳輪ごと柔らかく噛まれる。 「っ、ぅ、ふ……――ッ!」 「……っ、本当、分かりやすすぎ」 「待っ、ぁ、な、はとさ……んん……ッ!」  音を立て、限界まで硬く凝った乳首を吸い上げられる。弓なりに反る体を捕らえたまま、ナハトは更に追い込むようにもう片方の乳首を摘み、柔らかく扱いてくる。 「っ、ひ、ゃ、やばいです……っ、ぅ゛……っ! そ、それ……ッ! ぁ、な、はとさ……っ!」 「っ、やばいのはアンタの体。……感じすぎ。……このままイケよ」 「ぁ、くひ……っ!」  そう、乳首を愛撫する指に少し力を加えられたときだった。喉元まで這い上がってきた快感が頭の中で真っ白に爆ぜる。  大きく硬直し、ピクピクと痙攣する全身。下着の中にぬるぬると先走りが絡みつくのを感じながら俺はそのままナハトにしがみついた。 「っ、はー……っ、ぁ……っ」  ずるりとずれ落ちそうになる体を支えられたまま、ナハトは俺の胸を撫でた。乳輪の縁を指先が掠めただけで吐息が漏れ、ぞくぞくと背筋が震える。  ナハトさん、とその体にしなだれかかったときだ。艷やかな黒髪の下、ナハトが冷たい目でこちらを見ていたことに気付いた。 「……アンタ、また感度上がってない?」 「か、んどって……ひうっ」 「こことか、……それと、ここも」 『ここ』と下半身へと伸びてきたナハトの指に腿を撫でられただけで、既に硬くなっていた性器の先っぽがじんじんと熱くなってくる。  おかしい、ただ触れられてるだけなのに。性器に直接触られているわけでもないのに。 「っ、はー……っ、ぁ……っ、そ、そんなこと、ないです……っ!」 「本当に?」  じとりとこちらを覗き込んでくるナハト。こくこくと何度も頷き返せば、ふうん、とナハトは更に目を細める。  なんだ、この反応は。  白いナハトの目に冷やせが滲む。「あの、ナハトさん?」と名前を呼ぼうとした時だ。 「俺がいない間、まさか妙な真似されてないだろうな」  ナハトの口から飛び出した言葉に、思わずギクリと硬直した。  「みょ、妙な真似とは……っ、んぅッ」 「ここ、開発されたり」  言いながらも先程よりも強い力で乳首を摘み上げ、コリコリと先端を揉まれる。挟まれては逃れられない快感にゾクゾクと背筋が震えた。 「さ、されて、ませ……っ、んん……っ!」 「じゃあ、俺以外のやつに触らせた?」 「…………………………」 「…………………………」  しまった。突然図星を刺されてしまい、返事をすることを忘れてしまった。  更に先程よりも冷たい目をしたナハトに縮み込むのも束の間、そのまま下着ごと剥ぎ取られそうになって慌てて俺はナハトの腕を掴む。  このままでは危険な気がする。主に俺の尻が。 「……っ、ぁ、っ、ま、待ってくださいナハトさ……っ! これには、っふ、深い事情が……ッ!」  そう必死にナハトを宥めようと試みるも束の間、「うるさい、関係ない」と一蹴したナハトにそのままぺろんと下着を剥かれる。  丸出しになったままの尻にナハトの手が伸びる。鷲掴みする勢いで尻たぶを揉まれ、「ひん」っと声が漏れた。 「な、ナハトさんっ、落ち着いてください……っ!」 「どっからどう見ても俺の方が落ち着いてんだけど、わからない?」 「ぁ、や、でも……っ!」  怒ってるじゃないですか、と言いかけたとき、ナハトの指が尻の谷間に這わされる。そのまま横にぐに、と広げられる肛門に息を飲んだ。 「っ、あ……っ」 「『あっ』じゃないんだけど? ……はー、やっぱりアンタから目を離すべきじゃなかった。下半身ガバガバの尻軽とは知ってたけど、ここまでだなんて」 「う、ひ、酷いですナハトさん……っ! お、俺、まだなにも言ってません……っ!」 「読心術なんてなくても、こっちはお前の考えてることは分かる」  嫌ってくらいにな、とナハトの指が肛門に入ってきた。長く骨張った指は括約筋を無視してずぶずぶと奥までねじ込まれてくる。 「っ、は、な、ナハトさ……っ、ぁ……っ」  腹の中、腹の中で大きく曲げられた指は俺の意思など知ったこっちゃと言わんばかりに前立腺を柔らかく押し潰してくるのだ。 「っふ、ぅ゛……ッ!」 「久し振りの割には、なんでこんなに中柔らかくなってんの?」 「っ、そ、んな゛、こと……っ、ぉ゛……っ! ぅ、ひ……っ!」 「あるだろ。ああ、俺じゃないのは久し振りじゃないから?」 「っひ、な、はとさ……っ、ぉ、怒らないでくださ……っ、ぁ゛う゛……っ!」 「怒ってないし」 「う、そぉ゛……ッ! ひ、ッ、ぐ、ん゛ぅ~~……っ!」  ナハトが怖くなり、咄嗟にナハトから逃げようとベッドの上、這いずった瞬間。伸びてきた腕によってそのまま再びナハトの膝の上へと引き戻される。  そして、更に追加された指が付け根までぐっぽりと挿入されたことに驚くのも束の間、畳み掛けるように前立腺を責め立てられ、全身がぴんと硬直した。 「っ、はー……っ! ふ、ぅ゛……っ、それ、だ、め゛……っ! そこ、ばっか……っ、……ッ!」 「お前さあ、言ってることとやってること違い過ぎだよ。こんなに人の指締め付けておいて何言ってんの?」 「っ、待っ、ぁ゛……っ!! っ、ふ、ぅ゛……――ッ!」  じんじんと腫れ上がる凝りを更に指の腹で転がされる。背筋を逸し、明滅する頭の中。ずらされた下着から頭を出していた性器からとろりと白濁混じりの先走りが落ちていく。  そのまま動けなくなる俺を見て、そのままぬぽ、と指を引き抜いた。そして、くたりと動けなくなる俺をうつ伏せにベッドに転がしたナハト。 「……っ、な、はとさん」  もう終わったのだろうか、と熱で浮かされた頭でぼんやりと考えたときだった。  ベッドが軋む。背後から覆いかぶさってくるナハトの気配を感じて緊張するのも束の間、無防備になっていた臀部に再びナハトの手が伸びた。 「っ、ふ……ぅ……っ」  今度はもう抵抗する気力もなかった。投げ出された下半身、ナハトの手によって柔らかくされたそこを揉まれ、更に肛門を広げられるのだ。  剥き出しになった肛門の内壁に外気が流れ込んできて、その感覚にすら反応してしまいそうになっていたときだ。そのまま谷間にべちんと宛がわれる性器に息を飲む。触れただけで溶けてしまいそうなほどの熱と質量、それには身に覚えがあった。 「なんて顔してるんだ、アンタ」 「……っ、な、はとさ……」 「ガッカリしてんの、分かりやすすぎ。……本当、ド変態だな」  残念ながら、今の俺にはそのナハトの罵倒を否定することはできなかった。  ドクドクと下半身から伝わってくるナハトの鼓動。それに感応するかのように勃起し、先程よりも先走りを滴らせながらもベッドシーツを汚す自分を恥じる余裕も今の俺にはなかった。

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