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05※
「ど、どへ……へんたいじゃ、ないです……っ!」
「それ、どの口で言ってんの」
「っ、ぅ、な、はとさんの方が、えっ……っ、え……ッ、…………ちだと、おも、います……」
声が震える。ぐに、と広げられた肛門に押し付けられる亀頭が中へとゆっくりその頭を埋め込んでくるのが分かった。
声が漏れそうになるのを奥歯を噛み締めて堪えれば、背後でナハトが笑うのだ。
「なんだ、今更気付いたんだ?」
「っ、ぅ、んんぅ……っ!」
「お前のせいだよ、良平。お前のせいでこっちまでおかしくなってくんの。……なあ、分かってんの?」
「な、はとしゃ、待っ、ぁ゛……ッ!」
みちみちと内壁を摩擦しながら入ってくる性器に、背筋が甘く震えた。痒いところに手が届くようなそんな快感に耐えきれず腰が震える。ナハトさん、と背後のナハトを振り返ろうとしたときだ。
腰を掴まれ、そのまま腰を打ち付けられ、「ひうっ!」と大きく跳ね上がった。
「っ、ふー……っ、ぅ、熱い……っ、ナハトさ、……っ、んんっ!」
「本当……っ、最悪。俺をこんな風に変えたって自覚しろよ、反省しろ、責任を取れよ」
良平、と耳を噛まれ、そのまま耳朶から耳の穴まで擽るように舐められ、声にならない声が漏れる。
震える体を押さえつけられたまま、更に腰を進ませてくるナハト。「はっはっ」と犬のように呼吸を繰り返すことが精一杯の俺は、ナハトの性器を受け入れるため、ナハトの動きやすいように自分の腿を掴んて開いた。
その仕草がナハトの琴線に触れたようだ、
「――っ、ふ、ぅ゛……ッ!」
瞬間、臍の裏側を削り取るように性器で擦られる。前立腺が押し潰される感覚に堪らず震え、待ってください、とナハトの腕を掴んだが、ナハトは構わず腰を動かすのだ。
性器を飲み込んだ下腹部を手のひらで押さえつけられながら、そのまま腰を打ち付けられる。その度により鮮明になる性器の凹凸に耐えきれず、俺はナハトの腕を掴んだ。
「っひ、ぅ゛ぎ、ひ――ッ、ぁ゛、ッ、あ、ナハトしゃ……っ、ぉ゛、そこっ、ゃ゛……っ」
「や、じゃないだろ。良いって言え。今更自分だけ処女ぶってんなよ」
「くっ、ひぎゅ……ッ!」
圧迫感すらも心地良い。酸素が薄れていく頭の中、そして結合部からナハトの声が響く。痙攣する下半身。それすらも無視し、ナハトは更に中を探るように腰を動かすのだ。
「金玉に溜まってんの、全部ここに出すから。全部受け止めろよ、お前のために溜めてたの」
「ひっ、ぅ゛っ、そ、そんな恥ずかしいこと、言わないで……っ!」
「言う。じゃないとお前分かんないだろ、どんだけこっちが我慢してたか」
「っ、は、っ、ぅひ……っ!」
「……っ、それなのに、アンタは」
苛ついてるのか、それとも興奮してくれてるのか。恐らくその両者なのかもしれない。
腿を掴まれたまま、奥から入り口まで緩急つけて中を行き来する性器に前立腺ごと押し潰される。
腹が熱くて、苦しいのに。欠けていたピースがハマったような充足感が俺の心を満たしていくのだ。
「ご、めんなひゃ……っ! ぁ゛……ッ! ひ、ぎ……っ!」
「……っ、許さない」
「っ、んんぅ……っ!」
上の空、ただナハトという存在を享受することで精一杯だった俺の顎を掴んだナハトは、そのまま唇を重ねてくるのだ。
とろけるほどの熱に堪らず口を開き、自らナハトの舌に舌を絡める。
そこで自分がずっとナハトと“こういうこと”をすることを期待していたのだと理解した。
「……っ、ふ……っ、ぅ゛……ッ! ん、む……っ」
「っ、は……アンタ、本当にこれ……好きだよね」
「っす、きれす、……ナハトさ……っ、きす、もっと……っ」
「……っ、はあ、……本当救いようなさすぎ」
そうナハトは冷ややかに吐き捨てるが、言葉とは裏腹に腹の中で大きくなるのがわかる。
吐息混じり、再び絡め取られる舌を迎え入れながら俺はナハトにしがみついた。
喘ぎ声も吐息も全部混ざり合う。シーツの上、摩擦に耐えきれず吹き出す精液が滲むのを感じながら俺は呆気なく達する。
「――っ、ふ、ぅ……!」
びく、びく、と断続的に痙攣する体。拍子に、奥にまでねじ込まれていたナハトのものが俺の中で果てるのを感じた。満たされていく、心も体も。
腹の中吐き出される熱と余韻に浸る暇もなく、そのままゆるゆると腰を動かし出すナハト。まだやるのか、という声は最早出なかった。
ここ数日のトレーニングのお陰で体力は少しはついたのではないかと自負していたが、もしかしたら思い上がりだったのかもしれない。
「っ、な、はと、さ……っ、ま、まって、まだ、中……っ」
「……無理、全然足んない……」
「ナハト、さ……っ」
「あんたも、……他の男とヤんなくてもいいように搾り取っとくから」
「っ、ひ、ぅ゛……っ!」
出したばっかなのにすぐに硬くなるナハトの性器に、濡れそぼった中を先程よりも激しく突かれる。無理だと思ったのに、それだけで俺の体も反応してしまった。
既にガチガチに勃起した性器を見て、ナハトは「覚悟して」と意地の悪い顔をするのだ。
恐ろしいはずなのに、そんなナハトに胸の奥が苦しくなる。
――ナハトさんが俺を求めてくれるだけでも嬉しい、なんて。
そんなことを漏らしてみろ、ナハトはきっと嫌がるだろう。また尻軽だって言われるかもしれない。
だから、これは墓まで持っていかなければ。
そんなことを思いながら、「はい」と俺は震える手でナハトにしがみついた。
それが、数時間前のことだ。
――久しぶりに二人きりになれたとは言えど、やはり限度と節度は必要なのかもしれない。
散々ナハトに犯された尻の感覚は最早ない、いやあるにはある。けどなんかずっと尻に異物が刺さってるような感覚が抜け落ちないまま、俺はベッドの上から動けなくなっていた。
別に縛られたりしてるわけではない、精力諸々を吸われた結果だ。隣にはナハトが眠ってる。
無防備に寝顔を晒すナハトに俺は気が気でなかった。
普段は恥ずかしくてまじまじとナハトの顔を見ることはできなかったが、今なら見たい放題だ。
やっぱりナハトさん、睫毛長いな……。最初はなんでせっかくこんなに綺麗な顔をしてるのに仮面を付けてるのだろうかと不思議だったが、今ではこの寝顔を俺しか見たことない……かもしれないと思うとつい頬が緩む。
「……ふふ」
「何笑ってんの、キモ」
「ひっ!」
いきなりパチリと目を開けたナハトに、思わずベッドから転げ落ちそうになる俺。心臓に悪すぎる。
「お、起きてたんですか……っ?!」
「寝てはいた。けど完全に眠ることはできないから」
「そ、そうなんですね……」
それにしたって「キモ」は言い過ぎではないのかと今になって思ったが、そのままもそりと起き上がるナハトにそんな思考もどっか行った。
「……けどまあ、息抜きには丁度良かった。最近は運動できてなかったから」
「運動……息抜き……」
「なに? なんか不満でもあんの?」
「あ、ありません……っ!」
けど、せっかくのナハトの休みのところ、余計に疲れさせてしまったのではないかって考えたら少し罪悪感がある。
ちら、とナハトの方を見れば、徐に目があってしまい慌てて俯いた。さっきから頬が熱い。いや、寧ろ全身が。
「……ナハトさんの疲れを癒やしたかったんですが、その……」
「……別に、今からでもいいけど。その癒やすってやつ」
「え、ええ?! ……今はもう無理です」
「なんで」
「……お、俺が……変な気持ちになってしまいそうなので……」
「………………………………」
「だ、黙らないでください……っ!」
「……別に、俺は構わないけど?」
「え」
「というか、今更すぎない? 変じゃない時のアンタ、無いから」
ぐさぐさとナハトの言葉が刺さる。
ナハトには、隣に立っても恥ずかしくないような人間になりたいのに。
ナハトにむにむにと頬を摘まれ、そのまま柔らかく頬に噛みつかれれば「いひゃいれふ」と声が震えた。
「……ひ、酷いです、ナハトさん……」
「酷くない。……てか、俺は別にそのままでもいいって言ってんの」
……この人は本当に恐ろしい。
今度は噛まれた頬を撫でられる。よしよしと触れられるだけで、熱はじんわりと顔全体へと広がった。
「……それに、まあ……癒やされなくも、ない」
「え?」
「……………………」
「な、なんれ摘むんれふか」
「なんかムカついたから」
「そんなぁ……」
聞き間違いかと思ったが、ナハトは否定も撤回もしない。
……ナハトさんを癒せたのか、俺。
ナハトはリップサービスするような人間ではないからこそ余計、じわじわと嬉しくなる。シーツを頭まで被った俺は、ナハトにバレないようにへへ、と頬を緩めた。
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