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20※
「な……ッ」
――ナハトさんが、可愛いことを言っている……!普段息をするように憎まれ口を叩いたりチクチク言葉を吐き出すナハトさんが可愛いことを……っ!
思わず自分の頬を抓れば、むっとしたナハトさんに「どういう反応だよ」とうりうりと顎の下を触られた。これは、可愛がられているのか。なんだか犬にするような触り方ではあるが、悪い気は全然しない。寧ろ嬉しくなる。
「な、ナハトさん……ぉ、俺も……! 俺もです……っ!」
そう慌てて座り直す俺に、ナハトは体を起こした。そして、何故かじとりと冷たい目でこちらを見るのだ。
あれ、おかしいな。数秒前まではあんなにいい雰囲気だったのに……。
「そう言う割には、俺がいなくとも他の男と仲良く楽しそうにしてるの見かけるけど」
「そ、それは……」
「……おい、否定しろ馬鹿良平」
「ご、ごめんなひゃい……」
「このタイミングで謝られるのはもっとムカツクけど」
「んぇえ……」
顎の下を撫でていた手はむにむにと両頬を挟み、そのまま人の顔で遊ぶナハトさん。
「……今のうちに、アンタの頬の柔らかさでも楽しんでおくか」
「ほ、他にないんれふか……?!」
「へえ、それはなに? 他の部分も今のうちに堪能しておけっていう誘い文句?」
絶対そんなつもりではなかったのだけれども、意地の悪い顔をしたナハトさんに見つめられるとなんだかそんな気もしてきた。
頬を撫でていた手がするりと首筋から鎖骨へと降りていく。そのまま服の上から胸元へと指を這わされた瞬間、ぴくりと体が反応した。
「な、ナハトさん……ん、っむ……っ」
今日一日で何回ナハトとキスしたのだろうか。お家デートというのはなかなかにハードだな、と思いながらも、俺たちにはぴったりなような気がしてならない。
「っ、ひ、ぅ……っ! ぁ、あ、ナハトさん……っ、む、胸ばっか……っ」
「またここ肉ついてない? 筋トレサボってたでしょ、アンタ」
「ご、ごめんなさ……っ、ぁ、ん……っ!」
「太腿も、なんか柔らかくなってるし……」
「ぃ、う……っ!」
ソファーの上、覆いかぶさってくるナハトに胸を揉まれ、乳首を絞るように柔らかく指で摘み上げられれば、言葉にならない悲鳴が漏れる。
痛みにも似た鋭い刺激に腰が大きく震え、無意識の内にナハトを脚で挟んでしまっていたようだ。股の間に膝立ちになっていたナハトは薄く笑いながらむに、と俺の太腿を掴むのだ。
言われてみれば最近はトレーニングルームに行くことも減っていた。仕事が忙しかったのもあるが、それを言い訳にこっそりと食堂でいつもより多くスイーツを頼んでしまっていたのもあるだろう。ナハトに胸を揉まれ、その恥ずかしさに居た堪れなくなった。
「う、うう~……っ、む、胸はっ、でも、ナハトさんにも原因があると……っ、ん、ぅ、ぉ、思います……っ!」
「へえ、なんで?」
「……っ、そ、そうやって……胸、ぇ、えっちな触り方するので……っ!」
聞きかじりではあるが、共学時代に胸を揉まれると大きくなるという都市伝説を聞いたことがある。その可能性を訴えれば、ナハトは「ふうん」と目を細めた。
「な、ナハトさ……っ! ん、ぅ……っ!」
その笑顔に嫌な予感がし、咄嗟に逃げようとした矢先だった。胸元に顔を寄せたナハトはあろうことが俺の胸元にキスをする。ちゅ、と軽く皮膚を吸い上げられたと思いきや、今度は跡を残すように更に吸い上げられる。
「ぁ、ん、う……っ! にゃ、な、なはと、さ……っ!」
「っ、ふ……は、なら、このまま育ててやるよ」
「ぅ、な、や……っ」
冗談にしてはあまりにも笑えない。
皮膚に浮かぶ赤い跡を満足気に見つめたナハトは、そのまま今度はぷっくりと腫れた乳輪に舌を這わせるのだ。敢えて乳首を避けるようにして、乳輪の周辺を重点的に舌や唇で愛撫する。直接的な快感はないものの、ナハトの黒髪が皮膚を掠める度にそのこそばゆさで思わず自分で乳首に触れてしまいそうになった。
むずむずと催す俺を一瞥し、「堪え性のないやつ」と鼻で笑ったナハトはそのまま片方の乳首を指先で擦った。
「ぁ、ん……っ」
「どっから出してんの、その声」
「っ、わ、わかんないです……っ、な、ナハトさんが……っ、へ、変な触り方するから……」
「アンタは乱暴にされる方が好きだもんね」
「そ、それは語弊があります……っ!」
「けど、物足りないんだ。こうやって、優しくされるだけじゃ」
「ぁっ、う、んん……っ!」
すりすりと乳頭の付け根の部分を指で擦られ、固く芯を持ったそこの側面から先っぽまで柔らかく引き伸ばすように捏ねられる。そのまま先っぽをカリカリと引っ掛かれるだけで腰が揺れ、呼吸が浅くなった。ナハトはそんな俺を見上げたまま、胸全体、主に乳首周辺を中心にキスマークをつくっていくのだ。
「な、ナハトさん、つ、つけすぎでは……っ」
「マーキング」
「マー……?」
「俺がいないとき、アンタが他の男とホイホイ寝ないための魔除け」
俺のことをなんだと思ってるのだと心外ではあったものの、心当たりがあるため何も言えない。もはやグロテスクさすらある胸の夥しい量のキスマークに俺は目のやり場に困ったが、ナハトは満足したようだ。片方の胸元、触ってほしくてうずうずしていたそこにふうっと息を吹きかけられた瞬間、体が大きく震える。形のいいナハトの唇が近付く。眼の前の光景から目を離すことなどできなかった。
「っ、アンタ、見すぎ」
「す、すみませ……っ、ぇ……っ、んん……っ!」
「そんな顔しなくとも、ちゃんと今度はこっちで遊んでやるから」
口を開き、赤い舌を覗かせて笑うナハト。その舌からとろりと唾液を垂らし、濡れた乳首を柔らかく唇で挟んだ。ナハトの口内の熱さに溶けそうになった矢先、そのままにゅるりと乳首の側面をなで上げるように這う舌に腰が浮く。もう片方の乳首も指先でこちょこちょされ、左右バラバラの刺激での愛撫に絶えられず、着替えたばかりの下着の中では既にぬるぬるになっていた。
「っ、ぁ、な、ナハトさ……っ、ん、ぅ……っ!」
「ふ……っ、は、ぷりぷりしてて美味しそ」
「た、食べちゃだめ……っ!」
「ん……っ、へえ、食べないでいいの?」
せっかくイキそうになってたところ、狙ったように唇を離すナハト。散々焦らされたお陰で全神経は胸の先っぽに集まっているようだ。そんな状態で、ぽってりと濡れそぼった乳首を指先でぐに、と乳輪へと埋め込みながらナハトは笑う。いつもの意地悪な笑顔だ。……そして、俺はこの楽しそうなナハトさんの笑顔に滅法弱い。
シャツの裾を持ち上げる。ぴくぴく、と余韻による体の痙攣は収まらない。
「……っぁ、や、た、食べて……ください……」
上出来、とナハトは目を細めた。そして、潰され、埋め込まれていた乳首の先端部を今度は思いっきり吸い出されたのだ。その刺激の強さのあまり、一回イッてしまった、ナハトさんには秘密だ。そのまま痙攣する上体を抱き抱えられたまま、噛み付くように執拗に乳頭を追いかけられ、愛撫される。もう片方の乳首をシコられたまま、逃げられない体勢で重点的に与えられる胸部への愛撫に俺はナハトにしがみつくことが精一杯だった。
結局その日は、ナハトは俺が眠りにつくまで側にいてくれた。明日に響くだろうと最初は触り合いっこだけだったはずなのだが、気づけば寝室のベッドでナハトに犯されていたのだからお家デートとは恐ろしいものである。
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