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第7話

僕は、ふと気づくと左手ばかり見ている。 そう。左手の薬指には懸から貰った指輪が光っている。 これから先、何があるか分からない。ひとつずつ一緒に背負いながら幸せになるための約束の証。 「さーち、また指輪見て笑ってる」 そういう懸もどこか嬉しそうだった。 「だってさ、こういうのやっぱり嬉しいよねぇ。あ…ねぇ、懸は?」 「ん?何が?」 「懸には指輪ないの?」 「いいんだよ。佐智だけ特別。お揃いの指輪してたら会社で話題になっちまうだろ?大っぴらに言える関係じゃないし」 『まぁ、俺としては田代みたいな悪い虫が佐智につかないようにっていう牽制でもあるんだけどな』 「そうだね…ありがとう。でも僕からも何かプレゼントしたいなぁ」 「じゃ、佐智を頂戴」 「え?僕?」 「そ、佐智。佐智で俺を満たしてくれ」 そう言って指を絡ませてきた懸に佐智は顔を赤らめた。 そして佐智がコクっと黙って頷き、懸は寝室へと佐智の手を引いた。

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