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第7話
次の日の朝、目を覚ますと目の前に綺麗な寝顔があった。
「うわぁ?!」
「……………ん、何……?」
「何?……じゃねぇよ!別々の布団で寝るつったろ?!」
「……………。」
俺は飛び起きて、零から距離を取る。
あの綺麗すぎる顔は目に毒だ。
本人も無意識だったのか、キョトンとした顔をしている。
「僕、ここにいた?」
「あぁ、いた。だから今俺は驚いてる。」
「………ごめん。」
「いや、わざとじゃねぇならいいんだけど……。」
よくねぇだろ。と心の中で自分にツッコミつつ、大学に行く支度をする。
コーヒーを淹れながら、昨日のことを思い出した。
「零、コーヒーよりココアのがいい?」
「………。」
零はこくんと頷いた。
昨日店長が淹れたコーヒー、飲むスピードが異常に遅かった。
店長、基本ブラックしか淹れないからな。
もしかして苦手なのかと思って確認すると、案の定そうだった。
「甘いのが好きなの?苦いのが嫌いなの?」
「………苦いのがダメ……。」
「ふーん。」
「…………檸檬さんは?」
「俺はコーヒーはブラックで飲めるよ。てか、檸檬でいいよ、歳も近いし。」
「………檸檬。」
零は何故か嬉しそうに微笑んだ。
何が嬉しいんだか。
「レモンは、酸っぱいね……。」
「ん?あぁ、そうだな。」
「でも…、檸檬は良い香りがする。」
「まぁ、そうだな。」
何言ってんだ…?
突然レモン語りを始める零に困惑する。
話、合わせてやるべきなのか…?
「俺は好きだけど。レモンサワーとか美味いし。」
「僕も…。」
「零は酒飲めねぇだろ。」
そう言うと、零は黙った。
こいつもしかして未成年飲酒したな。
もしくは、"させられた"か…。
少し表情が曇ったから、話を切り替える。
「そうだ。零は外出る予定ないよな?」
「………。」
「ん。じゃあ留守番頼む。冷蔵庫のもんは好きに食べてて良いよ。昨日言った通り、昼飯は買って帰るから。」
俺は合鍵を零に預け、コートを羽織って玄関に向かった。
「いってきます。」
「……いってらっしゃい。」
零の小さな挨拶に見送られ、大学へ出発した。
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