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第7話 二度目と、初めて(3/13)
ルスの同意を得て、俺は丸ひと月ぶりに、その固く閉じた蕾へ指を這わせた。
前も、こんなだったなと思いながら。
俺しか知らないルスの姿を、目の前のルスに重ねながら。
けど、俺の胸に空虚さは無かった。
こいつの初めてを、二度も貰えるなら。こいつに二度も俺で初めてを感じてもらえるなら、それは何だか幸せな事のような気がしていた。
状況は変わってない。ルスはあの日を思い出さないままだ。
でも俺は今、心満たされていた。
全部、ルスのおかげだ。ルスが、俺を思ってくれたから……。
俺の胸に空いた穴に、ルスが愛を注いでくれた。
自分は昔から穴だらけのくせに。
ルス自身は、空いた穴に、いつも憎悪を詰め込んでいるくせに。
幸せだなんて、笑って言う。
その強すぎる心には、いつまで経っても勝てそうにない。
ルスの骨張った硬い尻は、相変わらず筋肉が引き締まって重い感じがする。
俺はまだギュッと閉じられているその入り口を指先でクルクルと撫でる。
夕食の後にルスは用を足していたようなので、おそらく中は空いてるだろう。
ひと月前、確かに俺の指を飲み込んだそこは、また初めてのように頑なな姿を見せていた。
そんじゃ、二度目の初めてを、有り難くいただくとしますか。
俺は胸中で呟くと、以前と同じようにルスの前側へと、もう片方の手を伸ばす。
ルスは前ほど緊張はしていないようだったが、前を触りながらの方が気が紛れるだろう。
「っ!?」
ルスのそそり立つそれに触れれば、ルスが驚きに肩を揺らした。
ガチガチになったままのそれを扱けば、ルスが小さく息を吐く。
「……っ……」
俺は、その隙にルスの内へと指をじわりと挿し入れた。
ゆっくりと指の先だけを出し入れしながら、残りの指で入り口周りの筋肉を撫でさすり、ほぐしてゆく。
「あまり……前を触られると……、っ、イってしまいそう、だ……」
ルスの息がほんの少し荒くて、俺は胸が熱くなる。
「ん、イっていーぜ。お前俺より強いんだし、先に一回イっとくくらいでちょーどいいだろ」
少し情けない気もするが、事実なので仕方ない。
つか、俺だって相手がお前じゃなきゃ、もっとずっと持つぜ?
苦笑と自嘲を混ぜ合わせて答えれば、ルスはホッとした様子を見せた。
前への刺激に合わせて、指をじわじわ奥へと挿し込めば、ルスの肌がほんのり汗ばむのが分かった。
肌から滲むルスの香りを堪能しながら、二本目を入り口に添える。
一本目はもう随分奥まで進み、きつく指を締めつけていた入り口にも少し余裕を感じる。
「もう一本入れるぞ」
「っ、ああ……」
詰めた息を吐くようにして、ルスが答える。
ちょっと掠れた声が、すげぇ色っぽい。
今日は別に急いでねーし、顔見てもいいよな?
そっと下から顔を覗けば、ルスは頬をほんのり染めて、精悍な眉を少しだけ切なげに寄せていた。
いつも後ろに撫でつけている黒髪は、髪を洗った後、また後ろに撫で付けてあったが、乾くそばからハラリと下りてくる。
うっ。可愛いなおい……。
後ろに指を足しながら、扱いていただけの前に刺激を足す。
くびれをくるりと撫で、先からとろりと溢れてきた汁に指先を絡めて、敏感なくびれの段差を乗り越えるように往復させる。
「っ……く……」
あ、ルス声漏らすの珍しいな。そろそろイキそうか?
俺は二本入った指で中を洗うと、ちょっと迷ってから、ルスの前から手を離し、注湯器を手に取る。
「お湯入れるぞ。冷たかったら汲みかえるから、言えよ?」
黙ったまま頷くルスの内側へ、それを差し込み、ゆっくりと湯を入れる。
ルスはびくりと肩を揺らして、小さく震えた。
「……ぅ……」
「大丈夫か?」
ルスがもう一度コクリと頷く。
俺は繰り返し湯を注いでは流し、中を綺麗にすすいだ。
「……っ」
苦しげなルスの息。
うん、わかる。入る時も出る時も、不快感あるよな。
これ、俺のために堪えてくれてんだよな……。
「終わったぞ、ルス。……ありがとな」
俺の言葉にルスは振り返ると、ほんのり染まった頬で、それでも男らしく微笑んで言う。
「お前と同じ事をしたまでだ」
この男前め……。
俺は、自分とルスの体を拭いて、ルスに俺の肩を掴ませて立ち上がらせる。
もう二度と、ふらつかせてたまるもんか。
そうして、俺達は互いに裸のままでひとつのベッドに入った。
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